宇検村指定文化財・佐念モーヤ

佐念モーヤを調査した鹿児島女子短期大学の竹中教授(右)、大西教授(中)、鐘ケ江学芸員

佐念モーヤ内部の埋葬状況

31体以上の人骨確認
鹿女短・竹中教授ら調査 デジタルデータで立体化へ

 鹿児島女子短期大学の竹中正巳教授などの調査チームは25日、現地調査していた宇検村佐念の村指定文化財・佐念モーヤの考古学的調査を終えた。サンゴの積石墓の実測や、内部を撮影して内部観察を行った。内部に少なくても人骨31体が、埋葬されているとみられ竹中教授は得られたデジタルデータをもとに立体化して、「佐念モーヤの埋葬過程を調べ、その他の埋葬例との比較研究などを行いたい」としている。

 佐念モーヤは佐念集落の共同墓地内に位置していて、奄美・沖縄の古い形態を残す墓として1982年に村の文化財に指定。先祖の遺骨か無縁仏の骨を集めたのではないかとされており、現在も花や線香が供えられ、集落の世話係や区長を中心に大事に保存されている。ただ詳細は不明で2015年に村文化財活性化委員会が、奄美考古学会の協力で村内8集落の墓地調査を行った際に、写真実測を記録。

 調査チームは竹中教授を中心に、鹿児島国際大学の大西智和教授、同大博物館の鐘ケ江賢二学芸員と瀬戸内町教育員会埋蔵文化財担当の鼎丈太郎学芸員を合わせて4人。23日から調査に入り、この日はデジタル写真などから、モーヤの内部構造や人骨の遺存状況の観察と記録を行った。

 モーヤは約2・9㍍×約3・6㍍の広さで高さは約1・1㍍。内部は約2・4㍍×約1㍍で、高さ約1㍍の構造。竹中教授によると、内部には多数の人骨と、人骨を埋納しているとみられる厨子甕=ずしがめ=があり、頭蓋骨の数から31体以上の人骨が埋葬されていると考察した。

 写真撮影は小型デジタルカメラを棒で内部に入れて、タブレットで写る範囲を見ながら苦労して撮影したという。竹中教授は「宇検村では、3カ所目となる人骨埋葬の調査。写真から3次元データが得られる。墓の埋葬過程など明らかにできれば」と話した。