ヤッコソウが見頃

森の中でユニークな表情を見せるヤッコソウの花(28日、奄美自然観察の森)

例年並みの個体数に
龍郷町長雲・観察の森

 龍郷町長雲の奄美自然観察の森で、「ヤッコソウ」が開花し見頃を迎えている。ユーモラスな表情を見せる白い花が、冬の自然観察として人気を呼んでいるという。

 『琉球弧・植物図鑑』(片野田逸朗さん著)によると、ヤッコソウはシイの根に寄生する多年生植物。四国南部・九州南部~琉球に分布。花は両性花で雄花期が終了すると雄しべの筒がとれ、白っぽくて丸みのある柱頭があらわれて雌花期となる。横に開出した鱗状葉のくぼみには蜜がたまるため、昆虫や小鳥が蜜を吸いに訪れる。

 和名の由来は、奴=やっこ=さんが練り歩く姿に似ていることによる。

 同観察の森の川畑力自然観察指導員は、「昨年は少雨で個体数が減少したが、今年は雨も適量で例年並みの個体数に回復」と説明。今年は11月中旬から開花し、個体により咲き具合にばらつきがあるが、12月中旬ごろまで花を楽しめるという。

 川畑指導員は、「木の根に生える植物なので、木から離れた所でも咲いていることがあるので足元に注意して観察してほしい。森の中では10カ所ほど咲いている場所があるので、他に咲いている所がないか楽しんで探してみて」と呼び掛けている。