県議会一般質問

10月に行われたIUCNによる現地調査(奄美大島・湯湾岳登山口で)

新港区整備、来夏までに完成
IUCN調査 推薦評価資料として勧告反映

 12月定例県議会は6日、引き続き一般質問があり、松里保廣議員=自民党、西之表市・熊毛地区=、遠嶋春日児議員=県民連合、薩摩川内市区=、鶴田志郎議員=自民党、肝属郡区=、禧久伸一郎議員=自民党、大島郡区=が登壇。奄美・沖縄航路の母港となっている鹿児島港新港区の整備について来年夏までには完成、世界自然遺産登録を目指す奄美群島の観光・産業振興に寄与するとの見通しが示された。

 世界自然遺産と観光産業振興について禧久議員が質問。新港区整備については三反園訓知事が答弁し、「残る貨物上屋やふ頭用地について整備を進めており、来年夏までには完成する」と報告。「旅客の安全性や利便性、港湾荷役作業の効率性が向上するとともに、世界自然遺産登録を目指す奄美群島の観光や産業の振興に大きく寄与すると考えている」と述べた。

 奄美・沖縄の世界自然遺産登録に関しIUCN(国際自然保護連合)の調査員2人により10月5~12日にかけて現地調査が行われたが、調査の概要と結果公表については藤本徳昭環境林務部長が答弁。調査では、▽昨年の勧告を踏まえて新たに推薦地に編入した地域の確認▽アマミノクロウサギなど貴重な固有種の観察▽地元住民などとの意見交換―が行われたと報告し、「国、県、地元市町村からは外来種対策や希少種の保護対策、観光管理の取り組みについて、住民からは外来種駆除などの主体的な活動について説明が行われた。現地調査において遺産としての価値、登録に向けた各般の取り組みの理解をいただけるよう最大限努めた」。

 結果公表について藤本部長は「国からはIUCNが現地調査結果そのものを公表することはないと聞いており、調査員が現地で確認した情報等については推薦案件の評価に関する会議における資料として最終的に来年5月ごろに世界遺産委員会に対して行われる勧告に反映されるものと承知している」と述べた。

 9月に徳之島でイヌが原因とみられるクロウサギの被害が確認されたが、野良犬の捕獲取り組みについて中山清美くらし保健福祉部長が答弁。それによると県内のイヌの捕獲頭数は年々減少しており、昨年度は鹿児島市を除く県内保健所計で805頭となった。このうち名瀬保健所で47頭、徳之島保健所で155頭捕獲。中山部長は「イヌの放し飼いや遺棄の防止のためには適正飼養が重要であり、県は市町村等と連携し、飼い主の責任の啓発に努めている」とし、徳之島においても「3町の協力を得ながらイヌの捕獲に努めるとともに、防災無線や広報誌等を活用しイヌの適正飼養の啓発を行っている」と説明した。

 サトウキビの生産振興に関する答弁で知事は「今年度産は台風の襲来もなく順調に成長している」として11月1日現在の生産量見込み調査を報告。それによると種子島地区は前年度比18%増の約14万㌧、奄美地区は同11%増の約37万㌧、県全体では同13%増の約51万㌧の生産量が見込まれている。また、ほ場における糖度調査では前年に比べ3・8度高い16・8度となっている。

 知事は「生産者の経営安定および製糖工場の安定操業のためにはサトウキビの単収・品質向上と栽培面積の維持拡大を図ることが重要」として、増産計画に基づいて堆肥投入などの地力増進対策やメイチュウなどの病害虫対策、地域の条件に適した優良品種の育成普及により単収・品質の向上を推進していくとした。栽培面積の維持拡大は、国・県の補助事業を活用しハーベスタ―や株出し管理機など作業受委託の取り組みを支援し省力化を図ることで新植面積の確保に努める方針。

 国が設定している基準糖度帯(13・1度~14・3度)の引き上げについて満薗秀彦農政部長は「引き続き高糖度品種の導入や土づくり、適期管理の推進など糖度向上対策に取り組むとともに地域の実情に十分加味した基準糖度帯の設定を国に働き掛けていく」と述べた。