保全管理拠点整備5900万円

世界遺産センター(仮称)を整備し遺産地域の適切な保護管理や観光管理の取り組みが図られる(着工予定地の奄美市住用町・マングローブパーク)

20年度環境省予算
世界自然遺産関係 ノネコ対策も強化へ

 閣議決定された2020年度予算案で環境省は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に向け「世界遺産センター」(仮称)を整備する世界遺産保全管理拠点施設等整備費を増額し5900万円を計上した。4島にセンターを整備し、保全管理や観光管理などの取り組みが図られる。

 政府は昨年5月にIUCN(国際自然保護連合)から「登録延期」の勧告を受けた際に、観光客の増加が遺産価値に対する脅威となることから観光管理施設や解説システムなどの設置を求められていた。

 センターは遺産地域の適切な保護管理や利用者への普及啓発態勢を整え、遺産地域の少人数利用の事前説明を行うほか、多人数の観光客も遺産価値を享受できるVR(仮想現実)等を活用した展示施設。奄美大島のセンターは今年度に基本設計、20年度が実施設計、21年度に着工する見通し。

 国がまとめた「絶滅の恐れのある野生生物種の保全戦略」では絶滅危惧種保全の推進に向け基本的方針と早急に取り組むべき施策が示され、奄美大島や徳之島などで希少種を捕食するノネコ対策等に取り組むとしている。

 同省によると、20年度予算(案)の希少種保護推進費は7億6300万円(前年度当初比300万円増)。ノネコ対策事業費は、前年度当初同額の4600万円で、奄美大島、徳之島でノネコ対策の強化を図る。

 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録推進事業に1億4800万円(同1千万円増)を計上。20年の世界自然遺産登録や登録後の適切な管理に向け、IUCNからの要請事項に対応する取り組みなどを推進する。

 外来種対策では特定外来生物防除等推進事業に5億7400万円(同増減なし)で、マングースの防除などを行う。