奄振関係13%増の241億円

おがみ山バイパス 整備など公共は15%増に
無電柱化、スマートアイランド実証も
20年度当初予算案

 【東京】政府は20日、2020年度当初予算案を閣議決定した。奄美群島振興開発関係予算決定額(国費ベース)は公共・非公共を合わせて241億4300万円で、13・1%増(19年度当初比)。公共事業は15%増の217億3400万円とし、与論町と和泊町が無電柱化に取り組む予算も計上。奄美群島振興交付金を含む非公共事業は、2%減の24億900万円だった。

 公共事業では港湾空港に44億1400万円(19年度当初予算比7%増)を計上し、内訳は港湾の32億1200万円と、航空機の安全運航確保のため無線など空港の機器設備更新に12億200万円。

 沖永良部島地下ダムの整備などの農林水産基盤整備は70億4400万円(同1%増)とし、農山漁村地域整備(交付金)14億9100万円(同3%増)で、奄美市や喜界町などで県が農地整備する。

 社会資本総合整備(交付金)は、95億4300万円(同11%増)を計上し、おがみ山バイパスを整備する。また道路整備の3億9500万円と、道路環境3500万円で、与論町と和泊町の無電柱化への調査などの事業が行われる。

 非公共事業の交付金では、奄美群島の自立的発展、住民の生活の安定および福祉向上、定住促進を図るため、奄美群島の特性に応じた産業の振興や生活の利便性向上を助ける事業を支援。雇用拡大、人材育成または交流人口拡大にかかわる事業のうち民間と連携した新しい取り組みについては、事業開始から3年以内を特定重点配分対象事業(交付率10分の6)とし支援する。

 また新たに特定重点配分対象事業の中に、ICT(情報通信技術)などの新技術を活用し離島の抱える課題解決を図るスマートアイランドの先進的取り組み実証事業を支援する予算を位置づけ。実証事業は▽高コストな電力供給体制の解消を目指す、小型風力発電や蓄電池などエネルギーの地産地消▽天候等による海上輸送の不安定性解消に、本土と離島間のドローンによる物資輸送▽公共交通網の衰退を受け、グリーンスローモビリティ(時速20㌔以下で走行する4人乗り電動自動車)自動運転車の導入―などに対する支援を想定。

 そのほか、物資の輸送費支援(交付率10分の7)、世界自然遺産登録に向けた観光キャンペーン(同10分の6)、航路・航空路運賃軽減事業(同10分の6)などの支援メニューも継続する。