産地づくりへ品質の向上やブランド化への取り組みを確認した奄美群島かんきつ振興大会
第4回奄美群島かんきつ振興大会(奄美群島農政推進協議会など主催)が18日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであった。タンカンの新品種として期待される「平井Red(レッド)」や県が推奨する「かごしまの農林水産物認証制度」(K―GAP)などによる産地づくりに向けた取り組みの事例発表があり、消費者ニーズが多様化するなか、栽培技術の高位平準化や生産量の安定化、品質の均一化など消費者から信頼される産地を目指すことなどを盛り込んだ大会宣言を採択した。
同大会はかんきつ類の産地間競争が激化するなか、ブランドの確立や生産者組織の充実・強化を目的に、奄美群島内の産地で開いている。2017年以来3年ぶりの開催となった今大会には、生産農家やJA、行政など関係者約150人が参加した。
「平井Red」の特性については、県農業開発総合センター大島支場の坂上陽美研究専門員が発表。13年に発見され昨年11月に品種登録された経緯や従来のタンカンに比べ収穫時期が早く、果皮のだいだい色が濃いことなどを紹介。生産拡大により今後期待される点として①収穫期が早くなることで産地の活性化が図られる②タンカン同様に産地化が期待される品種「津之輝(つのかがやき)」、「平井Red」、従来のタンカン品種「垂水1号」と収穫期の違いを生かしたリレー出荷が可能③労力分散による面積拡大と収量増④雇用期間の拡大、地域の小売、流通業者への好影響など地域経済の活性化―を挙げた。
K―GAP認証については徳之島町柑橘(かんきつ)生産組合の是枝純一組合長が発表。18年度に同認証の取得を目指し、取り組みをスタートし、昨年1月に組合員90人のうち15人が認証を取得したことを報告。同認証の優位性など取得の意義が見いだせず組合員の関心も低く、取得者が予想以上に少なったことに触れ、認証を受けた農産物の差別化や知名度アップに向けた取り組み強化などを今後の課題として挙げ、「安心と安全を届けたいという生産者の思いを県や町もくみ取り、PRに力を入れてほしい」と呼び掛けた。
基調講演ではイオン九州㈱の福山博久氏と鹿児島大学農学部の山本雅史教授が講演。「奄美群島のカンキツ特性とその活用」を演題に講演した山本教授は、ケラジミカンやシマミカンなどの在来かんきつにアスコルビン酸などの貴重な栄養素が高濃度で含まれていることや特徴ある固有の香りを放つ特性などを紹介。「かんきつ類とともに奄美固有の魅力ある文化を発信、売り出すことで地域の活性化に生かすことが可能」などと話した。
会場には新品種や防風樹の紹介や加工品などの展示コーナーが設けられたほか、優秀農家などの功労者表彰も行われた。また大会終了後には、同市名瀬朝戸の選果場や同市住用町のタンカン農園の視察も行われた。
功労者の被表彰者は次の通り。(敬称略)
▽優秀農家=松元修一(奄美市)、德富フミエ(徳之島町)▽優秀農業団体=奄美柑橘クラブ(奄美市)