旧正月に「節田マンカイ」

老若男女が参加して「節田マンカイ」を楽しんだ

奄美市笠利町 老若男女で唄掛け遊び

 旧正月にあたる25日の夜、奄美市笠利町の節田集落(朝郁夫区長、311世帯)で同集落の伝統芸能「節田マンカイ」が行われた。会場の節田生活館には多くの住民などが訪れ、老若男女が向かい合って座り唄掛けや手踊りを楽しんだ。

 節田マンカイは、男女の出会いの場として昭和初期ごろまで笠利地区の各集落で行われていた唄遊び。現在は節田集落のみが継承していて、2008年に県の無形民俗文化財に指定されている。

 奄美のシマ唄研究の第一人者・鹿児島純心女子短期大学の小川学夫名誉教授によると、「マンカイ」は招くという意味で、招くような手振りから付けられた名前と指摘。節田マンカイの唄は「正月マンカイ」、「塩道=しゅみち=長浜」、「前徳主=まいとくしゅ=」などがあり、「最も重要な
唄は『正月マンカイ』で、この芸能が正月と密接に結びついていることを示す。往時の唄の歌われ方を、ほうふつさせる貴重な芸能」と示唆する。

 この日は午後7時過ぎに住民が続々と会場に詰めかけ、同8時ごろに節田マンカイを開始。お互いに向きあった男女が「正月マンカイ」などの掛け合い唄で手踊りを舞い、三線やチヂン(太鼓)に合わせて手を合わせた。

 唄を掛け合いながら終盤に向け徐々に唄声や演奏が高まっていき、旧正月の夜を盛り上げ。踊りの後には参加者に、婦人会が腕を振るった正月料理の「アザンヤセ」(アザミと豚骨の煮物)が振る舞われ、参加者たちは食事を囲んで交流し親睦を深めた。

 朝区長は、「自分たちが先人から受け継いできた伝統行事。毎月2回は八月踊りや節田マンカイの唄や踊りの練習に取り組んでいる。しっかり継承して、子どもたちに伝えていきたい」と語った。