暖冬影響で値下げ続く野菜

平年より値を下げて取引されている名瀬中央青果のセリ

平年の半値ほどの価格で店頭に並ぶブロッコリー

中央青果取引も安値
鍋物需要減も要因

 記録的な暖冬の影響で全国的に野菜の市場価格が値崩れを起こしている。奄美市の名瀬中央青果でも全国的に野菜の生育が早く出荷量が増えている影響などから、ダイコンやキャベツ、ホウレンソウなどほとんどの野菜が平年より価格が下落。セリに参加した仲買業者の男性は「これだけ暖かいと鍋用のダイコンやハクサイは安くてもあまり売れない」と話すなど、生産者だけでなく小売業者などにも影響が出ている。

 農林水産省が22日に発表した野菜販売価格の動向(13~15日)によると、ハクサイは平年より22%安い1㌔146円、ダイコンは20%安の146円、キャベツは34%安の143円など8品目で平年に比べ4~35%安い価格となった。名瀬中央青果も同様に値下がりしており25日の市況では、ダイコンが88円(高値)、キャベツ91円(同)、ブロッコリー65円(同)などとなっている。

 同青果によると、平年はダイコンが150~160円、キャベツは200円程度、ブロッコリーも160円程度で取引されている。

 大きく値を下げた要因について、市況担当者は全国的な豊作の影響のほか「暖冬の影響で冬場の気温が高く、ダイコンなどの生育にも影響が出ている。通常より小ぶりのため高値が付きにくい」と指摘。また「気温が高い影響で害虫などによる被害が出ているものもある。品質的にも悪いものが出荷されることで全体的に安値傾向になってしまう」などと話した。

 野菜の供給量が増えて価格が下落する一方で「冬の定番」である鍋に使う野菜の売り上げが低迷、需要が伸び悩んでいることも値崩れの要因となっているようだ。

 奄美市名瀬の中原商店では、店頭に並ぶダイコンやハクサイなどがどれも平年に比べ3~5割安い価格となっており、通常160円ほどするブロッコリーは半値の80円だった。店員の男性は「値段が下がった分、大量に売れればいいが、売れ行きは例年と大きく変わらない。単価が下がった分、売り上げが減っている」と肩を落とす。市内のスーパーで買い物をしていた同市名瀬平田町の中山益美さん(43)も「値段が安いのはありがたいが、生産者の人たちのことを思うと申し訳ない気持ちになる」と話した。

 全国的に生育が早く出荷が早まったことで、春から夏場にかけて野菜の供給不足を懸念する声もある。また、今年は7月に東京オリンピック・パラリンピックも開催されることから、同青果の担当者は「東京などの都市部で例年以上に需要が増えると、地方に回る野菜が不足する恐れもある。供給量が減れば取引価格は必然的に上がる」と、夏場の価格上昇を心配する。