MC装着の施術を受ける飼い猫(環境省奄美野生生物保護センター提供)
環境省奄美群島国立公園管理事務所は26日、瀬戸内町の篠川地区センターで無料の飼い猫マイクロチップ(MC)の装着会を初めて行った。獣医師が持ち込まれた飼い猫15匹を施術。装着率向上を目指し、同事務所は「迷子になったときや、災害時に逃げ出した際、ノネコ捕獲で捕まった場合に飼い主のもとに戻れるメリットがある。飼っている猫には必ず装着を」と呼び掛けている。
事業は奄美大島でアマミノクロウサギなどの固有種を含む野生生物が野生化したネコにより捕食される被害が発生し、生態系の脅威となっていることを受け実施。環境省・県・奄美大島5市町村は「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」を策定し、山中のノネコ捕獲と同時並行で適正飼養に向けた取り組みを進めている。
5市町村では飼い猫登録とMC装着を条例で義務化しており、チップ購入費や処置費用の助成を行っているが、2019年度(昨年10月末現在)の奄美大島全体の装着率は24・97%。管理計画策定前(17年度)16・46%に比較すると、8・51ポイント上昇したものの推移は低調となっている。
同事務所はこれまでMC装着支援事業として、動物病院などに任せ無料で施術していた経緯があり、今回は動物病院がなく、希少生物の生息地に近い篠川で開催。この日は獣医師・看護師とスタッフが対応したほか、飼い猫登録やMCの番号登録のために同町職員が立ち会った。同集落を中心に15匹の飼い猫が運び込まれ、施術を受けた。
同事務所の早瀬穂奈実国立公園管理官は「1日で15匹にMC装着ができたのは十分と言える。来年度以降の計画は未定だが成功事例として報告し、今後につなげられれば」と語った。
無料装着会は2月9日(午前10時~午後4時)に同町勝浦公民館でも行われる。希望者は飼い猫登録を済ませた上での申し込みを行い、当日はネコが逃げ出さないよう洗濯ネットに入れた上で頑丈なキャリーケースに入れて来場するよう呼び掛けられている。
申し込みは電話0997―58―7000(奄美猫部)まで。