次期総合戦略について意見交換した市の戦略会議
今年度末で期限切れを迎える現行の『奄美市「攻め」の総合戦略』(2015~19年度)に変わる新たな総合戦略(20~24年度)の策定に向け、奄美市は31日、産官学などの有識者らで構成する奄美市総合戦略会議(座長・本田勝規奄美群島振興開発基金理事長、委員16人)を開き、新たな方向性などについて意見を聞いた。市は同会議の議論を踏まえた戦略案を今月初旬にもまとめ、市民の意見集約のための「パブリックコメント」を実施、改めて同会議に示したうえで、市議会3月定例会に提案する。
総合戦略は、政府が昨年12月に閣議決定した「第2期総合戦略」を踏まえたもの。市が示した骨格案では、人口が減少するなか、基本目標に①経済的に自立した島②子育てに適した島③皆が知恵を出し実行する島④豊かな自然と伝統を守る島―の従来と同様の基本戦略を掲げながら、国が定める「まち・ひと・しごと創生法」に基づく取り組みとして、関係人口の拡大や人工知能(AI)、情報通信技術の活用などを盛り込み、内容の見直しを図る方針が示された。
会議では、経済的に自立した島として、世界自然遺産登録を前提としたエコツーリズムの推進などの観光振興策が示されたが、委員からは「金作原などに観光客が集中することで自然環境への負荷が大きくなる」などオーバーツーリズムを懸念する意見もあり、「環境文化の視点を積極的にPRし、観光資源の分散化を進めてほしい」といった声があり、子育てに適した島では、働く女性の支援を求める意見などもあった。
このほか、これまでの総合戦略に記載された253事業に対する事業評価や市が実施した市民の幸福度調査アンケートの結果が報告された。5段階評価された事業評価では、効果の低かった事業については廃止や見直しなどを検討する。観光分野では入り込み客数やスポーツ合宿者数などで最高評価となった一方、奄美大島観光物産協会のホームページ閲覧数などは低評価だった。
アンケートは15歳以上を対象に16年度から年1回の計4回実施。回答のあった2940件(回答率36・8%)のうち、幸福・満足と思う回答は1386件、不幸・不満に思う回答は1848件だった。