「成年後見利用促進と中核機関」をテーマに講演する池田さん
奄美市・大和村・宇検村の3市村でつくる成年後見制度の利用者の相談窓口、専門機関の調整役などを担う県内初の「中核機関」設置を記念した「成年後見制度講演会」が15日、大和村の同防災センターであった。講師は、日本成年後見法学会副理事長の池田惠利子さん。参加者らは、成年後見制度の司令塔を担う中核機関の推進に向けて耳を傾け、今後の専門性確保などを目指し機運を高めた。
同3市村と中核機関運営の委託を受けたNPO法人あまみ成年後見センター(勝村克彦理事長)が主催。成年後見制度とは、認知症や知的障がいなどで物事の判断が十分でない人の権利を守り支援する制度で、この日は福祉関係者や民生委員、行政など約80人が参加した。
講演で、背景には〝家族機能の低下〟と〝キーパーソンの不在〟の問題があったと語る池田さんは「これまでは自ら声を上げるのは難しい状況だった」と制度の成り立ちを説明。「目的は権利擁護。対応策を検討し、適切な制度や機関につないで法的に守ってほしい」と後見人の役割を説いた。
「危機的状況になってからではなく、危機的状態を防ぐためにこの制度へつないでいく支援が大事」と池田さん。認知症高齢者の親族による不正な預金引き出しや相続、高額商品の売りつけなども横行する中、「親族は本人の権利擁護、事業者はコンプライアンスのためにも、制度の活用を意識してほしい」などと呼び掛けた。
スタート地点に立った中核機関については、「支える側が〝一人ぼっちにならない〟ための機関。アセスの検討や専門的判断、チーム作りなど、一つひとつ確実に前進を」とアドバイス。最後は、「権利擁護は気づいた時がスタート。奄美みんながどう支えていくのか注目したい」と機関の推進にエールを送った。
講演後は弁護士や市保健福祉部、センターの担当者らが登壇しディスカッション。制度利用に向けた周知・啓発の必要性を確認し、専門家を結ぶ情報窓口開設なども提起した。