今期から地元市場内には「光センサー選別コーナー」が設けられた。専用箱入りも持ち込まれ価格差が出ている
地元市場・名瀬中央青果㈱(森山直樹社長)のタンカン取扱はピークを過ぎたものの、それでも日量5~6㌧の入荷がある。今期から奄美大島選果場の利用を示す「光センサー選別コーナー」を設置。競りで値段をつける買受人に「通したものと通してないもの」を明確に示している。高値で比較した場合、光センサーを通したものが上回っているが、量が少なく優位性が十分に浸透していない。
同市場へのタンカン入荷量を日量でみると、今月17日がピークで9㌧台に達した。その後は7~8㌧台で推移し、休市明けの24日は6㌧、25日は5㌧だった。「多い年は日量10㌧以上となり、15㌧に達したこともあった。今期はイノシシやヒヨドリ被害もあり、予想よりも量が少ない」(市場担当者)。
買受人が値段をつけるにあたり、「光センサー選別品」「通していないもの」「専用箱入り」「ビニール袋詰め」に分別。このうち光センサー選別品は、同センサーが果玉1玉ごとに内部品質・外部の傷も瞬時に測定できることから、「安心して買い取ることができる」として競り値で差に。5㌔箱で比較すると、通していないものの高値が3500円、光センサー選別品は4500円と千円の差で、光センサー選別が上回っている。キロ単価でみても約200円高い。
しかし、価格差がついても光センサー選別のタンカン入荷量は少ない。市場の担当者は「『光センサー選別』と表示された箱でみても全体の1割にも達していない。統一基準に基づいて品質を保証していくためにも光センサー選別が欠かせないが、市場に出荷する農家は高齢者や兼業農家が多く、選果の委託で選果場に持ち込み、光センサー選別後に再び取りに行くことが負担という声を聞く。持ち込み・受け取りの負担を緩和する対応も選果場利用促進で必要ではないか」と指摘する。
買受人から「光センサー選別品は安心して買える。値段で優位性があることを農家は認識し、選果場利用が高まってほしい」との声があるだけに、利用しやすい環境づくりへ運営するJAだけでなく整備した行政を含めて関係機関による集出荷の在り方の検討も求められそうだ。