エコツアーガイド連協研修会

各講師からネコ問題や、国立公園の規制などが語られたエコツアーガイド自主研修会

「しっかりした知識で案内を」
ネコ問題現状や規制内容など講演

 奄美大島エコツアーガイド連絡協議会(喜島浩介会長)は27日、奄美市名瀬の奄美文化センター会議室で自主研修会を開いた。参加者は奄美大島のネコ問題の現状や、国立公園の規制などに関する講演を通して見識を深めた。

 同研修会に、エコツアーガイドなど約30人が参加。講師を奄美いんまや動物病院の伊藤圭子獣医師と環境省沖縄奄美自然環境事務所の千葉康人国立公園管理官が担当した。

 伊藤さんは、「奄美大島を取り巻くネコ環境」と題して配布資料で解説。2018年3月に策定された「ノネコ管理計画」の要点や、よく人に聞かれる部分などを紹介した。

 伊藤さんは、ネコは人が管理して世話をする生きもので野生動物ではない点などを強調。ノネコ捕獲に対する批判について、「一時的に森林に侵入しているノラネコや、飼い猫も希少種などを捕食する。『殺処分をしたい島』と言われるが、まず譲渡推進ありきの対策」と説明。

 「奄美大島のネコ問題対策は、飼い猫条例、ノラネコTNR(捕まえて不妊手術して放す)、ノネコ捕獲という3方向からの施策は、全国でもかなりの先進対策と言えるだろう」と評価。伊藤さんは、「ガイドは島を紹介してくれる大切な案内人。しっかりとした知識を持ち、ノネコ対策や適正飼養など正しい情報を伝えてもらえれば」と締めくくった。

 千葉さんは、「奄美大島の自然環境の特徴と保全の取り組みについて」の題でパンフレットなどの資料で講演。南西諸島の成り立ちや、世界自然遺産登録の流れなどにふれ、諮問機関IUCN(国際自然保護連合)が行った「登録延期」の勧告の内容を紹介した。

 また奄美群島国立公園の目指す「生態系管理型」や「環境文化型」を示して、自然公園法で規定されている特別保護地区と特別地域の規制内容をレクチャー。関係法令として種の保存法、鳥獣保護管理法や外来生物法などから、法律や条例で禁じられている最新の指定希少野生動植物種のリストを披露した。