家庭、学校や保育現場混乱

下校する児童たち(28日午後、奄美市内)

 
学童ク、時間延長も協力訴え
共稼ぎ世帯、「勤務シフトの調整困難」
小中高休校要請

 

 安倍晋三首相が発表した小中高校の休校要請から一夜明けた28日、学校や保育現場は朝から対応に追われた。突然、学校が休みとなる状況に問題は山積。子どもや保護者、学校だけでなく、放課後児童クラブ(学童クラブ)にも問い合わせが相次ぎ、今後に動揺が広がっている。

 休校要請は新型コロナウイルスによる肺炎感染リスクを受けたもの。全国一律の休校通知に対し県内でもそれらを踏まえた措置が取られ、奄美群島の各学校は3月2日以降、15日まで「コロナ休み」に入る見通しだ。

 学校行事の中止、卒業式の規模縮小など基本方針が示されたものの残り1カ月の動向は流動的。休校中の学童保育の対応は懸案の一つとなっている。

 学童クラブは原則として開所する方針。期間中は夏休みなどの対応と同じ、午前8時から午後6時まで子どもを預かる体制を取る。 

 奄美市内のクラブ関係者によると、安倍首相の発表後、利用児童の保護者から受け入れ開始時間の問い合わせが増えたという。

 現在準備を進めているが、保育スタッフの勤務体制などを踏まえた調整が必要で、突然の対応時間の変更に戸惑いは隠せない。ある関係者は「在宅保育が可能な時間帯があれば、保護者側に協力を求めたい」と話した。

 障がい児の放課後デイサービスを行う、同市名瀬和光町の「のぞみ園」は「国の要請にできる限り協力していく」姿勢。ただスタッフの勤務状況や保護者の希望、食事(給食)の準備―など検討が必要なため関係者は「利用する子どもに合わせた受け入れにつとめたい」としている。

 保育現場の協力呼びかけに子どもを預ける保護者からは「すでに3月の勤務シフトが決まっているので、平日の自宅対応は困難」「時間延長となるので、保育料の負担は増えるのか」の声が出ている。小学生低学年2人が学童に通う30代女性は「大事な発表は早めにするべき。家庭や保育現場をいたずらに混乱させているだけでは」と手厳しい。

 各家庭の反応も様々。

 市内の医療機関に勤める男性(47)は「家に子どもだけという状況になりそうで不安。職場へのシフト変更希望を含め、妻と話し合いたい」。高校受験を控えた子どもを持つ、行政職員の男性(50)は「受験日(5・6日)が迫っている。自宅学習しながら臨む状況を心配している」。

 市内のある中学校では定期のPTAがあり、その中で臨時休校を説明。卒業式の動向や今後の中止行事を伝えた。出席した保護者は「子どもは、遠足やクラスマッチを楽しみにしていただけに中止は残念」と話した。