看板を制作した沖高卒業生の内山さん(右)と左の絵の題材となった内山さんの妹の心陽ちゃん(中央)=4日、知名町=
【沖永良部】知名町の商店街に一つの看板がお目見えした。制作したのは、先月、沖永良部高校を卒業した内山希生さん(18)、宮元美法さん(18)、玉野純菜さん(18)の3人。内山さんは「島を離れる前に、良い思い出になった」と笑顔で語った。
商店街を絵で盛り上げたいと、同町商工会の宗岡理奈さん(35)が依頼した。
縦180㌢、横90㌢の板5枚を使って制作。そのうち3枚には、内山さんが好きなアニメのキャラクターを題材にしたオリジナルキャラを描いた。衣装は、エラブユリとグラジオラスをイメージした。
残り2枚には、新型コロナウイルスの影響で外出自粛中に、内山さんの妹の心陽(こはる)ちゃん(4)が見せたユニークな姿を、そのまま絵にした。その横には「てあらい うがい しっかりと」の言葉を添えた。
制作期間は先月25~29日の4日間。商店街沿いの広場で作業を行い、完成した看板は今月3日、同町の日用雑貨店「レインボー」の壁に設置された。
宮元さんと玉野さんは大学進学のため、すでに離島。内山さんも大阪の大学に進学するが、新型コロナウイルスの影響で出発を見合わせていた。
壁に飾られた絵を見ながら内山さんは「島を出る前に、何かを残したいと思っていた。作業をしていると、通りがかった人が『頑張れ』と声を掛けてくれたり、差し入れをしてくれたりした。それが沖永良部の良さ」と話した。
宗岡さんは「3人が頑張ってくれた。大変な時期だからこそ商店街を盛り上げ、地元の人を楽しませられるような取り組みを続けていきたい」と語った。
看板を制作した内山さんは、大学進学のため3月下旬に大阪へ出発する予定だった。
新型コロナウイルスの影響で、今月2日の入学式は中止。前期の授業開始は、23日から5月8日に延期となった。大阪だけでなく、和泊町でも感染者が見つかり、親から「島を出るな」と言われたという。現在も出発の目途はたっていない。
看板に妹の姿を描いたのは、感染予防に向けて「責任ある行動」を呼び掛けるためだ。
内山さんは「自分の身を守ることが、家族や友達を守ることになる。感染しないためにも自分の行動に責任を持ちたい」と話した。