美味しさ広がる笑顔の輪

地域住民らでにぎわう移動販売現場

丸屋レストランキッチンカー
龍郷町・秋名漁港で移動販売
人気の味に舌鼓

 瀬戸内町古仁屋の丸屋レストラン(屋崎一英代表)は30日、龍郷町の秋名漁港で初のキッチンカーによる移動販売を行った。昼の開店直後から多くの地域住民でにぎわい、人気メニューは早々に売り切れに。集落内外から訪れた客は人気店の味に舌鼓を打った。

 同店は1月にキッチンカーを購入。新型コロナウイルスの影響で店舗の客足が一時遠のいた。一方で業務にゆとりができ、かねてより計画していた移動販売を実現することができた。「お客さんがレストランに来られない今、店側からお客さんのもとに出向いて美味しさを届けたい」と屋崎代表は語る。

 屋崎代表の妻で、同店の子ども食堂の代表でもある聡子さんは秋名出身。その縁で秋名に遊びに来た際、住民のフレンドリーで温かい人柄に触れた。「秋名の人たちに恩返しをしたい。最初の移動販売は秋名で」と決めたという。

 感謝の気持ちを表し、価格も廉価に設定。スープを後掛けする「鶏飯丼」、豚肉と玉ねぎに秘伝の特製タレをかけた「スタミナ丼」、柔らかな肉が特徴の「豚の角煮丼」の3種類の丼メニューを各500円で販売した。

 30日は昼の部正午~午後1時半、夕方の部午後5時~午後6時半の2回営業。正午の開店直後から、子どもから高齢者まで幅広い年代の地域住民が次々に訪れた。1番人気の「豚の角煮丼」は早々に多数が売れ、いったん販売を終了。

 秋名在住の山田ヤヱ子さん(77)は「丸屋レストランの味は評判で、古仁屋に行く際は立ち寄る。古仁屋に行かなくてもお店の味が楽しめるのがうれしい」と笑顔。

 中には、購入後に漁港内で丼を広げ、穏やかな天気のもとピクニックを楽しむ客も。秋名で田植え作業をしていて立ち寄ったという稲作農家の男性(36)は「スタミナ丼」を購入。「タレの味が『反則技』と思えるおいしさ。病みつきになってご飯が進む。体を動かした後なのでよけいに美味しく感じる」といきいきと「食レポ」した。また「ワンコインで手軽に食べられるので移動販売はいいと思う」と同店の取り組みを評価。

 計240食を用意したという屋崎代表だが、好調な売れ行きに「予想以上の反響」と驚いた様子。「今後は店舗営業と移動販売の2本立てて、お店の味を広げたい。古仁屋を中心に島内を回り、多くの人に味を知って喜んでもらいたい」と話した。
 

■記者もメニューを試食しました!

スタミナ丼(上)と鶏飯丼(下)

 「鶏飯丼」と「スタミナ丼」を実食。「鶏飯丼」は鶏ガラスープがあっさりとしていながら味わい深く、トッピングの漬物の味がアクセント。

 「スタミナ丼」は開封した瞬間からニンニクと特製タレが薫り高く、食欲が湧いてきました。豚肉と玉ねぎの風味にコクの深いタレが絡み、名前の通り元気が出るようなメニューでした。

 漁港では訪れた地域住民がキッチンカーを囲んで笑顔で談笑する様子を見て、移動販売が地域の交流を促進する可能性を感じました。(佐々木菜々)