産卵するクシハダミドリイシ(興克樹さん撮影)
大和村国直沖でサンゴ一斉産卵
興さん撮影
自然写真家で、奄美海洋生物研究会会長の興克樹さん(49)=奄美市名瀬=が10日夜、大和村国直沖でミドリイシ属のサンゴの一斉産卵を撮影した。奄美群島ではサンゴの産卵シーズン初期にミドリイシ属の産卵が見られる。これから夏にかけさまざまな種類のサンゴが産卵していくという。
同エリアのサンゴは1998年の白化現象により壊滅したが、その後地域住民に見守られながら回復・成長している。奄美大島全域をみると、2000~2008年のオニヒトデの大発生で多くのサンゴが失われたが、現在は回復傾向にある。
興さんは満月となった6日夜から観察を始め、8日、9日に小規模な産卵を確認。10日にクシハダミドリイシやトゲスギミドリイシなど、ミドリイシ属の一斉産卵を確認した。
産卵は午後10時ごろから始まり、7種のミドリイシ属のサンゴが次々と産卵。直径0・5㍉ほどの、淡いピンク色のバンドル(卵と精子の入ったカプセル)が放出された。産卵は午後11時半まで続いた。
興さんによると、海中には無数のバンドルが浮遊し、ピーク時には前が見えないほどだったという。「力強いサンゴの営みに感動しました」と興さんは話す。
一斉産卵は数日続く見込み。「サンゴ礁の近くの集落では生臭いサンゴの卵のにおいとともに、海面を漂う卵の帯スリック(ピンク色のバンドルの殻が帯状になったもの)が見られるかもしれない。身近なサンゴの命の営みを感じてほしい」と興さんは呼び掛ける。