奄美市中1自殺問題

市教委対応の問題点などについて議論した共同会見

「不都合な事実も受け止めて」
第三者委の内沢委員長らが共同会見 再発防止検討委の問題点など指摘

 奄美市の中学1年男子生徒(当時13歳)が2015年11月、担任教諭の不適切な指導が原因で自殺した問題で、男子生徒の遺族と同問題を調査した第三者委員会の内沢達委員長(元鹿児島大教授)(73)らが29日、同市のAiAiひろばで共同会見を開いた。遺族らは第三者委が報告書の中で提言している「市教委による主体的な検証」の必要性を訴え、市教委が設置した再発防止対策検討委員会に対し、「委員の意見が反映されることは少なく、議論の積み重ねがない」などと批判した。

 共同会見には学校関係者や一般市民ら約50人が参加。内沢委員長のほか、再発防止対策委員で、第三者委員会の副委員長も務めた栁優香弁護士(41)、自殺した生徒の父親が、それぞれの立場から、男子生徒が自殺に至った経緯や第三者委としてまとめた報告書の内容などを説明。現在、協議が進められている再発防止対策検討委の問題点などについて意見を述べた。

 栁弁護士は、再発防止対策検討委に市教委が提示した「再発防止ハンドブック」について、「文部科学省などの通達やガイドラインなどを集めた資料的な要素しかなく、男子生徒の死に正面から向き合った再発防止策ではない」と指摘。内村委員長は、「教育長は学校現場に責任を押し付けようとしている。市教委自らが、自身の誤りに向き合わなければ問題は解決できない」などと、要田憲雄教育長や市教委の対応を厳しく批判した。

 生徒の父親は「子どもの無念に応えるためにもしっかりとした再発防止策をつくりたい。それが供養になり、子どもの命をつなぐことになる」と訴え、再発防止対策検討委での議論などに触れながら「市教委にとって不都合なことであっても、しっかりと受け止め、主体的に検証する姿勢を見せてほしい」などと呼びかけた。

 会場には、市内の小中学校などで勤務する教員の姿もあった。第三者委が報告書で求めている教員研修について「報告書はあるが、研修などで活用したことはない」などと現場の実情を明らかにした。

 遺族や第三者委が報告書の中で求めている▽第三者委の報告に関する保護者説明会や教職員研修▽再発防止策の実施状況を評価する第三者機関の設置▽市教委と第三者委による協議―などは実現していない。

 共同会見を前に、内沢委員長は要田教育長や市教委の担当課長に、会見への参加を文書で求めていたが、要田教育長は公務出張のため出席せず、市教委の担当者も「現在、再発防止対策検討委員会で取り組みを検討中で、委員会審議に影響を与えないよう参加を控えたい」などと文書で回答。市教委の関係者は会見に出席しなかった。