奄美観光への影響懸念

ピーチ便で来島した観光客ら(10日午後1時ごろ、奄美空港)

 

 

東京の感染過去最多、他県への移動自粛で
鹿児島市のクラスターの影響指摘も

 

 東京都で新型コロナウイルスの感染者が過去最多の243人を記録するなど感染拡大が続くなか、奄美大島の観光業関係者らは「ようやく観光客の来島も増えてきた時だけに、夏場の観光シーズンに影響が出ないか心配」と今後の入込客の動向などを不安視。鹿児島市のショーパブで発生したクラスター(感染者集団)に対しても「県外客にとっては、鹿児島市も奄美も同じ鹿児島県。感染を心配して来島を控える動きにつながる可能性がある」と心配する。

 10日午後、奄美市笠利町の奄美空港の到着ロビーには格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーション社の東京(成田)―奄美便で来島した観光客らがマスク姿で降り立った。ロビーにはレンタカー会社の社員や宿泊施設の関係者らが出迎える姿もあり、感染拡大の影響は感じられなかった。

 同空港近くのレンタカー会社の従業員は「6月以降、利用客は増えている。前年比5~6割程度の利用状況だが、7、8月も予約は順調に入っており、今のところ新型コロナの感染拡大の影響は出ていない」と話す。一方で、東京都の小池百合子都知事が、不要不急な他県への移動を控えるよう呼び掛けていることから「今後、さらに感染者が増えたら影響が出てくるかもしれない。何とか感染に歯止めがかかることを期待するしかない」と話した。

 同市笠利町のリゾートホテル「ばしゃ山村」でも、6月以降徐々に観光客の宿泊は増加、7月は前年比5割程度まで回復している。しかし、気がかりなこともあるという。同ホテルの祷敏郎アドバイザーは「これまで徐々に増えていた予約などの問い合わせが、今月6日ごろから横ばい状態になっている。例年だと観光シーズンを迎えるこれからさらに予約が増える時期だけに、少し心配している」と話した。

 同市住用町の黒潮の森マングローブパークの寿浩義支配人は、カヌー体験をする観光客について「現在もそれほど島外からの客足は戻っておらず、東京での感染拡大の影響は限定的」と指摘する一方で、「鹿児島市のクラスターの影響もあるのではないか」と、鹿児島市のショーパブのクラスターの影響を指摘する。

 ばしゃ山村の祷支配人も「奄美を訪れる観光客の半数以上が東京から。都民にとっては鹿児島市も奄美大島も同じ鹿児島。クラスターの発生で、感染を心配して来島を避ける人もいるのでは」と話し、東京と鹿児島での感染拡大を懸念した。