職員や入院患者への感染が広がった与論徳洲会病院。感染防止対策の徹底を図り、濃厚接触者らへのPCR検査を実施している
与論徳洲会病院は25日、与論町で発生した新型コロナウイルスの感染について、これまでに同町の濃厚接触者ら約500人について、抗原検査とPCR検査のいずれかを実施したことを明らかにした。PCR検査の検体は徳之島保健所によって県本土の検査機関に輸送後、感染の有無が調べられている。24日現在、同病院に関連する感染者9人(入院患者3人、退院患者3人、職員3人)を含む27人の感染を確認したことを、ホームページで公表。その後の県発表で新たに2人の感染が分かった。
同病院は、22日に勤務する20代女性看護師の感染が判明した後、同保健所や県の指示を受け、看護師が陽性となるまでの勤務状況や生活経過などをたどった。陽性者と濃厚接触があった職員を自宅待機とし順次PCR検査を実施しているほか、病院の入院患者と職員ら全員を対象にPCR検査も進めている。
県などによると、25日までに医療スタッフ約90人と入院患者(退院含む)約50人のPCR検査を終えた。同病院によると、残りの病院職員と入院患者についても、25日までに検体採取を終えたという。
同病院は現在、急患など一部の患者を除いて受け入れを制限。一般外来の定期処方については、電話診療で対応している。予定していた内視鏡検査や手術は、緊急性のあるもの以外は延期した。
徳洲会本部(東京都)は、グループ病院(同)の感染管理認定看護師1人を同病院に派遣。同保健所や県、鹿児島大学病院の医師によるアドバイスを受けるなど対策強化を図っている。マスクや手袋、フェイスシールド、医療ガウンなどの着用や院内のアルコール消毒の徹底などにも努めている。
町内の飲食店で行われた会食に参加していた女性看護師が感染したことについて、同グループ広報部は「感染しない、させないための行動をとるよう、医療機関として職員らに指導、通達してきたが、院内感染が疑われる事例が起こったことは残念。今後は、島内唯一の総合病院としての責務を果たせるよう、感染拡大の防止と終息に取り組む。グループとしても全力でサポートしたい」としている。