コロナ禍・奄美のために出来ること=⑪=

コロナを擬人化することで、特性を見極め共存も
輝く奄美の思い出美しい島の感染に衝撃受ける

 奄美への思いと、登場人物を紹介しながら次の人にバトンをつなぐ「奄美のためにできること。新型
コロナウイルスと私は戦う!」の第11回。新極真会代表緑健児さんの紹介で、音楽家・長渕剛さんが登場する前編をおくる。

       (東京支局・高田賢一)

 空手を通じた熱い絆。奄美を背負う緑代表に共感。

 「会いたい人に会えないのが一番の悩みですね。今回インタビューを受けることを決めたのは、代表とのつながりはもちろん、あんな美しい南の島にもコロナがはびこるんだとショックだったこと。一方で、コロナに負けないで頑張っている、と島んちゅが拳を上げてほしいと思ったからです。代表とは、長男(航さん)が空手をやっていた縁で知り合い、僕も新極真会へ。代表とは20年来親しくさせていただいています。あのたくましい人柄と生き方そのものが『コロナに負けない』を現している。世界で戦う姿は、奄美を背負っているのです。代表との友情を、生涯大事にしていきたいですね」

 緑代表との縁で、奄美でコンサートを実現。思い出に残る大歓迎ぶり。

 「2度訪ねましたが、そりゃ全部覚えています。島の人たちの歓迎ぶりがとんでもなく、大自然の中にどっぷり(笑い)。一週間ぐらい滞在しましたが、島の人情、島のルールなど僕の記憶の中でキラキラと輝いています。お酒を酌み交わし、鶏飯、養殖マグロ、イノシシ、ヤギ…。何もかもが、とてもおいしかったなあ」

 満足げに目を輝かせる長渕さん。東日本大震災など震災のたびに様々な支援をしてきたが、今回のコロナにどう向き合うのか。

 「とんでもないことが起きた今、コロナを擬人化、なぜ奴らはやって来たのかととらえ、共存を覚悟した上でその特性を知るしかないのです。むやみやたらに恐れるのではなくてね。ただ、かかってしまった人間とうつした人間に距離を置くことは、決して解決にはつながらない。それらを、愛情豊かに、抱き締めていくことが大切なのです」

 数々の曲で聴く者を奮い立たせてきた表現者は、「今作らなければ間に合わない命がある」と「しゃくなげ色の空」を誕生させる。

 「時代背景を伴った歌を書きたい衝動で詩作に挑んだ時、『シャクナゲ』が、たまたまスタジオの庭にひっそりと咲いていました。花言葉の『尊厳』や『危険(用心)』もコロナと一致したのも実は、偶然なのです」

 「聴く立場によってどんな色なのかを感じてほしい」と語る、力強くも優しい歌は、同郷のAIさんとのコラボで公式サイトに公開中だ。22日に敢行する、自身初のオンラインライブの模様などは後編へ続く。

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 長渕剛(ながぶち・つよし)1956年鹿児島県生まれ。78年「巡恋歌」で本格デビュー。80年「順子」が初のチャートナンバーワンに。82年初の日本武道館ライブ。以来東京ドームなど各地で多数動員。88年「とんぼ」がミリオンセラーになるほか、以降数々の曲を発表。俳優、画家、書道家としても才能を発揮している。