奄美高校・認知症講座

講師を務めた「まーじんま」代表世話役人の屋村さん

「老後最大の不安要素」
校内実習の一環 気持ちに寄り添う大切さ伝える

 奄美市名瀬の奄美高校(宇都尚美校長)で2日、認知症についての講座があった。校内実習の一環で、対象は衛生看護科の生徒33人(1~2年生)。通常この時期は老人ホームに出向いて臨地実習が行われるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、校内実習に切り替えている。生徒らは講師や認知症の介護経験者のリアルな講話に耳を傾け、認知症への理解を深めた。

 講師は市認知症の人と家族と支援者の会「まーじんま」代表世話役人の屋村賢良さんと、同会の世話人であり、認知症介護を経験した高橋道代さんが務めた。両者とも同校卒業生。その他、同会の広報担当者、市高齢者福祉課名瀬地区包括支援センターの看護師も同席した。

 講座で屋村さんは、自身が同会を立ち上げた経緯や▽奄美市の高齢化率▽「高齢者」の定義▽高齢化率が上がることによる社会への影響(例:2025年には2~3人に一人が介護者になる)ーなどの社会状況を説明。認知症については、病気ではなく、脳細胞の機能障害が引き起こす症状であることや、本人や家族が抱える苦しみ、両者への適切な対応を伝えた。奥村さんは「認知症は老後最大の不安要素と言われていて、他人ごとではない。当事者や介護する家族が安心して住める地域づくりが大切」と訴えた。

 高橋さんは、自身が体験した家族の認知症介護体験を語り、「介護を通して人の温かさに触れた。認知症になっても、心は最後まである。気持ちに寄り添うことが大切」と語りかけた。

 また、質疑応答があり「地域におそらく認知症による徘徊=はいかい=をしている人がいるがどう対応したらよいか」の問いに屋村さんが「まずは優しく声を掛けることと、目線を合わせ1対1で話すこと」と答える場面もあった。

 泉沙葉羅さん(1年)は「臨地実習がなくなり授業で高齢者と関わる機会がなくなってしまったが、講座を通して認知症について学ぶ貴重な体験になった。今後の学習につなげていきたい」と話した。