県市町村課は、2019年度市町村普通会計決算(速報値)を発表した。歳入(前年度比4・7%増の総額9769億4600万円)、歳出(同5・2%増の総額9446億9400万円)とも前年度を上回り、7年連続増加で、過去最大。決算収支で実質収支は全団体が黒字だが、実質単年度収支は43団体中14団体が黒字(前年度の18団体から4団体減少)で、残り29団体が赤字。この赤字団体には奄美の7団体も含まれており、奄美の赤字団体は前年度より1団体増加した。
実質収支は249億2900万円の黒字だが、前年度比32億9千万円減少。実質単年度収支は150億4600万円の赤字で、赤字額は同94億500万円増加した。実質単年度収支の赤字は4年連続。
実質収支に表れない前年度からの繰越しや積立金の積立・取崩し、繰上償還の影響を加味した最終的な収支の目安となるのが実質単年度収支。奄美の市町村の実質単年度収支をみると、赤字は奄美市(マイナス14億1700万円)、大和村(同3100万円)、喜界町(同1億8500万円)、徳之島町(同1億3千万円)、伊仙町(同1億5200万円)、和泊町(同5900万円)、与論町(同1億400万円)の計7団体。前年度、マイナス1700万円の赤字団体だった宇検村は、2200万円の黒字団体に。同様にマイナス1億9300万円の赤字団体だった龍郷町は、2億2900万円の黒字団体となった。一方、8300万円の黒字団体だった喜界町はマイナス1億8500万円の赤字団体に転落した。19年度の黒字団体の最高額は龍郷町となっている。
歳入のうち自主財源は3579億9900万円(構成比36・6%)で、前年度比6・7%増、構成比でも0・7%増。内訳で地方税は市町村民税法人分が6・6%減だったが、固定資産税3・2%増、市町村民税個人分が0・5%増となったことなどから、全体では1・4%の増となった。依存財源は6189億4600万円(同63・4%)、前年度比3・6%増、構成比では0・7%減少した。内訳をみると、地方交付税は普通交付税が0・4%増、特別交付税0・9%減となり、全体では0・2%の増。国庫支出金は、国庫支出金10・5%増、県支出金9・2%増となり、合わせて10・1%増となった。地方債は、臨時財政対策債が19・1%減となり、全体で0・1%の減。臨時財政対策債を除いた地方債では7・2%の増。
歳出は、人件費=0・2%の増▽扶助費=児童福祉費等の増で、4・3%の増▽公債費=0・0%の増▽普通建設事業費=単独事業費4・5%の減、補助事業費24・6%の増となったことから、全体では8・6%の増―など。
借金にあたる地方債現在高は9297億4700万円で、前年度比0・1%減。臨時財政対策債の減などによるもの。この臨時財政対策債を除いた金額は6069億400万円で、前年度比0・8%の増。貯金にあたる積立金現在高は3075億4300万円で、前年度比2・7%減となった。
奄美の市町村の積立金残高をみると、奄美市(144億2600万円)、龍郷町(38億3600万円)、喜界町(34億2300万円)が上位。全市町村が10億円以上となっている。
県内市町村の各種財政指標をみると、財政力指数0・29(前年度と同じ)、経常収支比率92・9%(前年度比1・2ポイント上昇)、実質公債費比率(3カ年平均)6・7%(同0・1ポイント低下)。このうち経常収支比率は県内市町村の34団体が90%を超えており、「財政構造の硬直化が見られる」(市町村課)。実質公債費比率は8年連続で県内全ての市町村が18%未満となり、地方債の発行に許可を要する団体はない。
奄美の市町村の場合、財政力指数の最高は奄美市(0・27)だが、県平均には届いておらず、全市町村が県平均以下。県内最高は鹿児島市の0・73。経常収支比率は知名町(94・8%)、実質公債費比率は和泊町(15・9%)が最高で、経常収支比率・実質公債費比率とも数字が高いほど財政状況の厳しさを示している。なお、和泊町の実質公債費比率の高さは県内最高(ワースト1)。和泊町は前年度もワースト1(15・4%)で、0・5ポイント上昇と悪化している。同比率の高い5団体には与論町(12・0%、4番目)も入っている。