猟友会員減、新たな確保課題

徳之島町で顕著で、深刻なイノシシによるサトウキビほ場被害。対策では猟友会の会員数確保も課題となっている(徳之島町提供写真)

県、狩猟免許取得促進へ環境整備
有害鳥獣対策

 奄美では特に徳之島でサトウキビ食害などイノシシによる農作物被害が増加している。こうした有害鳥獣の捕獲に欠かせない猟友会の会員数は、県内では減少と同時に高齢者の占める割合が顕著となっている。鳥獣被害対策を進める上で新たな会員の確保が課題となっており、県では講習会支援など狩猟免許を取得しやすい環境整備に取り組んでいる。

 有害鳥獣による農作物被害は、県内2019年度まとめでは前年度比約1億5千万円増の約5億3千万円。このうちイノシシによる被害が全体の約4割を占めている。

 近年、イノシシ被害が増加している徳之島町では防止対策を強化。今年度から山際に設置している侵入防止柵の見回りや補修の取り組みを進めるとともに、猟友会とも連携しての捕獲頭数の増加に取り組んでいる。一方で捕獲を担う猟友会の会員数は減少。19年度末における県内の猟友会員数は約3600人で、全国都道府県別では3位と上位にあるもののピーク時の約5分の1まで減っているほか、60歳以上が全体の約7割を占めている。

 鳥獣被害と猟友会の課題・対策は、開会中の9月定例県議会の一般質問で取り上げられた。猟友会について答弁に立った松下正環境林務部長は「新たな会員の確保が課題となっている。県では狩猟免許の取得を促進している」と説明。取り組みとして▽事前講習会への支援や狩猟読本の無償配布▽免許試験日を受験しやすい日曜日とし、回数を各地域(大島地区を含む7地域)での年2回に加えて、県下全域を対象に1回増加(県庁で実施)▽初心者等を対象とした捕獲技術の講習会実施―などを挙げた。

 狩猟免許はわな猟、第1種銃猟、第2種銃猟(空気銃限定)、網漁の4種類ある。県の支援取り組みもあり、わな猟の免許取得者は年々増加しているものの、猟銃の所持規制が厳しくなったことなどから、特に第1種銃猟の所持者の減少が著しい状況にある。

 なお、南大島農業共済組合が認定した19年/20年期産サトウキビに対するイノシシ被害面積は、前期の2倍強の2673㌃。町別では徳之島町が77%を占めた。