食農一貫の黒砂糖づくり体験で、ひと足早い「ミイザタ(新黒糖)」の香りを漂わせた=25日、伊仙町馬根小学校
【徳之島】製糖シーズンの本格化を前に、伊仙町立馬根小学校(茶屋大作校長・児童数9人)では25日、学校園のサトウキビを使った恒例の黒砂糖づくり体験があった。児童たちは保護者や地域住民たちとも交流しながら、ふるさとの伝統産業を学習。食農一貫体験を通した〝甘い結晶〟に笑顔の花を咲かせた。
総合的な学習の時間を活用し、地域と交流しながらふるさとの良さや伝統を知る伝統的な学校行事。原料のキビは、校舎の裏にあるミニ農園(約30平方㍍)で住民の常福太郎さん(66)=元PTA会長=らの栽培指導で児童たちが育て24日、約160㌔を収穫。県の試験研究機関が圧搾協力してくれた。
黒砂糖づくりは、校庭に大なべ2基を仮設してキビジュースを注ぎ午前10時に火入れした。枯れ枝など天然木の薪(まき)は、常健志PTA会長(44)らが用意した。児童たちは煙にむせて目を赤くしながら交互にかくはん棒でかき混ぜ、昔ながらの「サタタキ(砂糖たき)」を体験。難しい火加減と凝固剤(生石灰)混入などは〝地域の先生〟たちがアドバイス。着火から約2時間。一基はやや焦げ気味だったが、もう一基は立派な黒糖に仕上がった。
児童たちはひと足早い「ミイザタ(新黒糖)」の味覚に感動。常塁翔(るいと)君(5年生)は「熱くて煙たかったが、甘くておいしい黒糖ができた。固まる前の柔らか黒糖もキビの味が濃くて、とてもおいしかった。お父さんや地域の人たちの協力のおかげです。来年も楽しみです」と笑顔だった。
同小は、新型コロナウイルスの影響で地域との交流グラウンドゴルフ大会(年3回)などは中止。校庭での黒糖づくりも高齢者たちの招待数を抑制した。