徳之島一周ウルトラマラソン

16時間29分をかけて「徳之島一周ウルトラマラソン」(77・2㌔)を〝走覇〟した徳之島の小学教師たち(提供写真)

16時間29分、77・2㌔を〝走覇〟
徳之島の小学教師5人 

 【徳之島】「コロナに負けるな!目指せ!『自分史上最高!』」――。トライアスロン愛好者の徳之島地区の小学校教師5人グループが22日、自己の限界に挑む「徳之島一周ウルトラマラソン」を自主企画してチャレンジ。足の激痛にも苦闘しつつ当初設定の制限時間を返上。16時間29分をかけて同島一周77・2㌔の徳之島路をそろって〝走覇〟した。自ら課した極限に耐えた満足感と、教師自ら子どもたちに「チャレンジすること」の大切さを示せた喜びを分かちあった。

 同グループは、徳之島トライアスロン大会に昨年まで連続4回(総合・リレー各2回)出場している〝アスリート先生〟の伊仙町立馬根小学校教頭の久保昌意(まさおき)さん(44)ら5人。未知の同島一周チャレンジへの動機は、練習を積み備えてきた今年の同トライアスロン大会が、新型コロナウイルス感染症の影響で中止されたことがきっかけ。

 久保さんらの呼び掛けに20代~40代の男女5人が呼応。名付けて「徳之島の子どもたちを盛り上げよう健康づくり同好会」。目的に①「徳之島の子どもたちに、教師自ら自分の限界に挑むことで『チャレンジすること』の大切さを伝える」、②「徳之島への感謝の気持ちを一歩一歩踏みしめ、愛すべき徳之島での『自分史上最高』の思い出をつくる」も明確に掲げての決行に。

 まだ暗い午前6時、発着点の伊仙町ほーらい館(伊仙)前から天城町方向への県道を時計回りでそろってスタートした。安全確保のため同僚や家族などが時折伴走・待機した。給水や昼食など休憩は計10回(10分~60分間ずつ)、県道に面した小、中学校を利用。変化に富んだ南国の美しい景観に秘められた厳しいアップダウン、「国内屈指の過酷なトライアスロンミドルコース」とも評価される徳之島一周コース。当初のゴール予想を午後6時に設定していたが、想像以上の苦闘を強いられ4時間余も超過した。

 「(当初は)午後6時になったら、挑戦を止めようと思っていた。足も非常に痛かった。だが、誰一人として『中断しよう』とは言わなかった」と久保さん。サポートの仲間たちにも励まされながら黙々とゴールを目指した。そしてスタートから16時間29分後の午後10時29分、全員そろって無事伊仙町ほーらい館前にたどり着き〝走覇〟した。

 久保さんは「個人的にもフルマラソン以上の距離への挑戦は初めて。(呼応して)参加したてくれた仲間たちと周り(サポート)に支えられた。歳を重ねても、去年の自分を乗り越えることができた自身がついた」。子どもたちには「自分の夢や目標を諦めずに頑張ることの大切さを教えたい」と話した。