伐採逃れ、可憐な紫の花咲く

伐採を逃れ、可憐な紫の花を咲かせたヘツカリンドウ

ヘツカリンドウ開花
龍郷町の山中 生育場所を保護

 龍郷町の山中で「ヘツカリンドウ」が開花している。直径3㌢ほどの花は5枚の紫色の花弁があり、中央には緑色の斑点が彩られ、可憐な美しさを醸し出している。開花期は1月ごろまで続く見込みで、先端には、これから開花するつぼみをいくつも付けていた。

 ヘツカリンドウは、リンドウ科センブリ属に属する多年草。九州(鹿児島県南部)~沖縄県に分布。林縁や草地に生育し、和名のヘツカは、大隅半島の辺塚(南大隅町)で発見されたことに由来する。草丈は30~100㌢ほど。花の色は、生育地によって異なり、白っぽいタイプや赤褐色、紫褐色などさまざま。

 森林伐採や林道開発などの影響で、近年は生育地の減少も指摘されている。今回、開花が確認された場所も、当初、同町が草刈りを予定していた林道沿い。自生しているのを見つけた地元住民から10月下旬、伐採しないよう要請があり、同町が、生育場所を確認し保護した。

 同町の奄美自然観察の森の元自然観察指導員で、野生植物に詳しい宇都宮英之さん(63)は「場所ごとに異なった色の花を楽しめるのがヘツカリンドウの魅力。伐採時期などを配慮することで、奄美の自然を守ることができる。地域全体で保護しながら観光などに活用できれば」と話した。