「ほら、これがマイクの置き土産のリュウキュウマツのはめ込み式椅子」と説明する惠原さん
同センターで大工仕事をするマイクさん(提供写真)
マイクさんと惠原さん(提供写真)
奄美市木工工芸センター(惠原佑光責任者)=同市住用町)は、2年前に惜しまれながら伐採されたリュウキュウマツ「朝仁千年松」を利用して、この夏に看板や椅子をデザイン・製作した。この時に惠原さんの助手として修業、手伝いをしたのはリヒテンシュタイン(中央ヨーロッパ)から訪れていたマイク・ハイデッカーさん(26)だった。
マイクさんは、同国でも大工を学んでおり、奄美に訪れる前に、3カ月間、淡路島で宮大工の修業をしてきた。その後、サーファーでもあるマイクさんは、観光交流施設「三太郎の里」で惠原さんが製作した椅子を見て、同センターに現れ、自ら修業を買ってでたという。4月初めから7月の終りまで、同センターでカンナやノミなどを自在に操り、惠原さんの仕事を手伝ってくれたという。
惠原さんによると「朝仁千年松」の木材の扱いには苦慮したらしい。製材して虫殺しから始まり、マツクイムシ、シロアリなど注射器で2万回ほど駆除、資材にして板にしても「あばれ方が半端じゃない」ほど真っ直ぐにならず、曲がって使い物にならないものも。四苦八苦する中、「マイクは宮大工の修業もしただけあって、腕は確か。おかげで納期に間に合った。助かった」と笑顔満面で紹介した。スイス語とドイツ語での会話はままならなかったと振り返ったが、家族や友人たちとマイクさんの誕生日祝いをしたり国際交流はばっちり。
マイクさんの父親は、長野冬季五輪の際に、同国の一人乗りリュージュの選手で来日しており、親子での訪日体験者。同センターの展示室には、マイクさんが作製した、クギノリも使用しないハメコミだけのリュウキュウマツの椅子が置き土産として保存されている。