寒空、緋色に染める

平井果樹園内に植樹されているヒカンザクラの開花。7日正午過ぎ、園内の気温は8度まで下がった

平井果樹園 ヒカンザクラ開花
例年より1週間遅れ

 強い冬型の気圧配置となった7日、奄美地方にも寒気が流れ込み強風も加わって気温が低下したが、奄美市名瀬の山間部にある果樹園では植樹されたヒカンザクラが開花、寒空を緋色に染めている。例年より1週間ほど遅れており、現在三分咲きだ。

 この日の名瀬の最低気温は10・8度まで下がり、気象庁によると最も寒い時期を下回った。最高気温も14・6度(午後0時48分)までしか上がらず、強風と雨で気温以上の寒さを感じる一日となった。

 寒空とは対照的に、ぬくもりを与えるようなスポットが広がっているのは本茶団地(果樹園造成地)内にある平井果樹園(平井孝宜園主)。標高284㍍の園で植栽されているタンカンの栽培面積は約4㌶。この園の中に30本ほどのヒカンザクラがある。

 高さ8~10㍍のヒカンザクラの中には樹齢約40年のものも。園主の父親の學さん(72)が市内までかんきつ類を配達した際、苗木3本を譲り受け園内に植樹したのが始まりという。ヒカンザクラの横に並ぶようにヒカゲヘゴも。「下向きに咲く緋色や淡いピンクなどの花の色と濃い緑のヒカゲヘゴの相性がいい。仕事の合間に両植物を眺めるのが楽しみだった」と學さん。

 現在開花しているのは、管理棟の前に植樹されているヒカンザクラ。例年、年末には開花し、数本の枝を自宅に飾り正月を華やかに彩るのが恒例。落葉樹は寒が生育に影響するが、昨年は11月まで気温の高い傾向にあり、12月下旬になって寒が入るようになった。學さんは「開花は1週間ほど遅れており、まだ三分咲き程度。今月中旬にかけて満開になるのではないか。他のヒカンザクラも開花すると、園内では2月まで花見を楽しむことができる」と話す。果樹園は標高が高いことから他の地域よりも早く咲くようだ。

 ヒカンザクラはバラ科(サクラ属)で、中国原産の落葉高木。花期は1~3月ごろ。花は葉に先立って、前年枝の葉腋から下向きに咲くのが特徴。和名は「寒緋桜」。寒期に花を咲かせるのが由来。