外国人労働者過去最多8761人

鹿労局まとめ 名瀬職安管内は257人
新型コロナで増加率鈍化

 鹿児島労働局は、管内における外国人雇用状況の届け出(2020年10月末現在)をまとめ29日、公表した。県内で雇用されている外国人労働者数は8761人で過去最多(前年同期比374人増)となった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で入国者が減少したため、増加率は前年同期比17・7ポイント減の4・5%と大きく低下した。国籍別ではベトナム人が最も多く約半数、在留資格別では「技能実習」が最も多く3分の2を占めた。職安別では、名瀬所管内は103事業所で257人を雇用、いずれも前年同期比で増加した。

 外国人雇用状況の届出制度は、「労働施策の総合的な推進ならびに労働者の雇用の安定および職業生活の充実等に関する法律」に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的に設定。すべての事業主に、外国人労働者の雇い入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けている。

 まとめによると、外国人雇用事業所数は1677で、前年同期比7・6%増加。事業所数、労働者数とも年々増加している。規模別では30人未満の事業所が最も多く、953事業所(外国人雇用事業所全体の56・8%)、次いで30~99人規模が412事業所(同24・6%)、100~499人規模が227事業所(同13・5%)となっている。

 国籍別はベトナムが最も多く4627人で、外国人労働者全体の52・8%を占めている。フィリピンが初めて2位となり1362人(同15・5%)、次いで中国1299人(同14・8%)となっており、この3カ国で外国人労働者の83・2%を占めている。16年10月までは中国が最も多かったが、17年10月以降はベトナムが最も多くなっている。

 在留資格別にみると「技能実習」が最も多く5861人で、外国人労働者の66・9%を占めている。次いで「身分に基づく在留資格」1321人(同15・1%)、「専門的・技術的分野の在留資格」923人(同10・5%)。外国人の就労拡大のため19年4月に始まった「特定技能」は99人で、前年同期の2人から大幅に増加した。

 産業別は製造業が最も多く3884人で、外国人労働者全体の44・3%を占めている。次いで農業・林業1226人(同14・0%)、卸売業・小売業893人(同10・2%)となっている。

 なお、県は外国人材が職場や地域で円滑に定着できることを目的とした厚生労働省の委託事業である「地域外国人材受け入れ・定着モデル事業」で、20年度から22年度の間、全国5地域(北海道、群馬県、福井県、岐阜県、鹿児島県)のモデル地域に選定された。20年度は介護事業所へ「特定技能」の在留資格を所有した外国人材を受け入れるための取り組みを展開している。