青空に向かう「昇り龍ヒカンザクラ」

龍郷町大勝の「昇り龍ヒカンザクラ」も満開に咲き誇り天に向かっている=西康範さん撮影=

恒例の「さくらまつり」今年は中止 龍郷町大勝集落

 澄み切った青空に向かう「昇り龍」登場――。龍郷町大勝集落の山腹にはヒカンザクラの並木がある。緋色の花が満開に咲き誇り、照葉樹林の濃淡の緑色とのコントラストが鮮やか。天を向く「昇り龍ヒカンザクラ」は力強さが伝わるものの、今年は恒例の「大勝さくらまつり」の中止が決まり、寂しげにも映る。

 西康範さんが撮影。山腹にヒカンザクラの並木があるのは、集落民から「寺山」と呼ばれる山だ。登り口から約470㍍にかけて植樹されている。山道は舗装されているものの、最大傾斜は45度もあり、かなりの急峻だが、山の頂上まで昇りつめるとヒカンザクラの樹木が折り重なり、「サクラのトンネル」のような状態になっているという。

 集落のシンボル、龍郷町にふさわしい「昇り龍ヒカンザクラ」は集落民の手入れによって維持されている。今年も1月24日に集落、青壮年団による合同の下払い作業が行われ、景観を保った。

 満開のヒカンザクラを楽しむイベントとして、集落で毎年2月の第1日曜に開催されているのが「さくらまつり」。昨年まで7回開催され、黒糖焼酎が飲み放題ということもあり龍郷町内外、観光客も含めて延べ800人が訪れにぎわいを見せたが、残念ながら今年は新型コロナウイルス感染防止の観点から中止が決定。集落には開催に関する問い合わせも寄せられているという。「昇り龍ヒカンザクラ」が見守る下、来年は開催されることを願いたい。