「いせん寺子屋」 漂着ごみ・貝殻でアートも

地球規模の海洋汚染の実態を共有。漂着ごみや貝殻でアート作品づくりも体験=6日、伊仙町喜念浜海岸

「海のごみと恵みを体感」

【徳之島】伊仙町の2020年度「いせん寺子屋」(町教委・社会教育課主催)の第5テーマ「海のごみと海の恵みを体感しよう」が6日午後、同町喜念浜海岸であった。家族連れの保育園児から80歳代まで15人が町内外から参加。地球規模の大問題である海洋汚染の実態、危機感を共有し、その漂着ごみや貝殻を拾い集めてのアート作品づくりでも交流した。

「いせん寺子屋」は、地元や世界で活躍する人材を育成するための「地元学」やキャリア教育を中心とした学習支援の一環。5年目の今年度は新型コロナウイルス対策のため、島外からゲスト講師の招へいは休止。島内在住の講師たちによるアートカード・名作鑑賞、プログラミング、英語検定対策、哲学講座など含め計6テーマ(全10回)で推進中。

テーマ「海のごみと海の恵みを体感しよう」の講師は、元天城町地域おこし協力隊のイラスト・デザイン家で、現在「森と海の藝術楽校」(同町三京)主宰、「茶処・あがりまた」(同町当部)代表の野瀬貴子さん(東京都出身)が担当した。

モクマオウ林の緑陰でまずあった座学で野瀬さんは、世界の国々から年間約1300万㌧のプラスチックごみが海に流れ出し、分解されにくくその寿命は500~1000年にも及ぶこと。エサと区別ができずに飲み込んだりする海洋生物への影響。ポイ捨てされたレジ袋が風雨で海に流れ出て漂流するうちに細片化(マイクロプラスチック化)し、有害物質(PCBなど農薬類)を吸着。それを摂取した魚類が食卓に戻ってくる極めて深刻な悪循環なども指摘した。

このあと、奄美群島国立公園第2種特別地域でもある喜念浜海岸の砂丘を散策しながら、漂着ごみやシーグラス、貝殻などを収集。黒く塗ったキャンバスに思い思いに組み合わせて接着し、オリジナル作品づくりも楽しんだ。

家族4人で参加していた町内の小学校教諭・枦山裕輔さん(33)は「昨年4月に赴任、自然関係のイベントに興味があった。子どもたちも工作が大好きで(漂着物などを)拾いながら作品を考えた。今後も関心を持ち続けたい」と話していた。