職員相互派遣協定の締結により、新型コロナウイルスに職員が感染した場合でも事業所間の協力で通所系サービス提供が継続される(デイサービス資料写真)
利用者や職員が新型コロナウイルスに感染した場合でも、サービス提供が継続できるようにしようと、複数の通所系サービス(デイサービスやデイケア)事業所が職員の相互派遣で協定した。昨年11月に発足した奄美大島地域介護サービス提供継続支援チーム(長谷川大代表)の働きかけ、支援により実現。介護サービス利用が高齢者のフレイル(心身の衰え)予防につながるだけに、事業所協定で継続できる環境が整ったことになる。
職員相互派遣協定を締結(今月4日付)した事業所は、㈲シダマ薬局(あおぞらデイサービス)、㈲わんわんネット(わんわんデイサービス)、㈱和月(デイサービス和月、デイサービス和月龍郷)、㈱きずな(デイきずな)。4事業所とも奄美市内に所在するが、龍郷町でサービスを展開しているところもある。
通所系サービスの利用者は在宅で生活しているが、食事や入浴などの日常生活支援、リハビリなど生活機能向上のための介護サービスを運営する事業所で、日帰りで受けることで外出の機会となっているほか、高齢者同士の交流にもつながっている。こうしたサービスを提供する事業所で、サービス提供に支障が出る人数の職員が、新型コロナに感染、濃厚接触またはその恐れがあると確認されて仕事を休まなければならなくなった場合でも、協定事業所間での職員相互派遣によりサービス提供を適切に継続し続けていくことで、職員不足から休業に陥る事態を防ぐ。
サービス提供に関係する看護・介護職の職員数は4事業所平均で6~7人。利用者の平均は20~30人で、週1日から数日と利用の範囲はさまざま。4事業所間で交わした協定書によると、協力事項には▽各種研修を共同で▽職員相互派遣▽情報の共有―などがあり、派遣期間における派遣職員の給料、手当等および交通費は、派遣元が負担。派遣元は、派遣業務終了後に派遣先に対し、派遣職員が実施した派遣業務にかかわる対価を請求する。
支援チーム事務局の勝村克彦さんは「利用者のみなさんが感染することがないよう、職員はマスク着用など予防対策を徹底し事業所で受け入れているが、利用者や職員の感染を完全に防ぐことは難しいだけに、万一の場合に備えて協定を結んだ事業所間で補い合っていきたい。事業の継続によって利用者の健康、生活、命を守ることができる」と語った。民間事業所が独自に、こうした取り組みをするのは奄美群島では初であり、鹿児島県内でも珍しい取り組みという。