新産業創出や事業承継も

地域の中小企業「稼ぐ力」向上へ新規施策

塩田康一知事がマニフェストに掲げた「稼ぐ力」向上は、2021年度当初予算案で示された施策で具体的に盛り込まれている。コロナ禍により厳しい経営状況にある地域の中小企業支援では新規に新産業創出支援、生産性向上支援のほか、事業承継を促進する。引き続き取り組む企業誘致は、「大きなビジネスを生み出すことが期待される」として情報通信関連企業の誘致を強化する。

県内中小企業の振興策は開会中の3月定例県議会代表質問で取り上げられた。塩田知事は答弁で、「当初予算編成で地域の中小企業の『稼ぐ力』の向上は、施策の大きな柱に据えている。新産業の創出支援、生産性向上支援、事業承継の促進、企業誘致の強化に取り組む」と述べた。

このうち新産業創出は、「新産業創出ネットワーク事業(地域資源等を活用した新産業創出)」として当初予算案に1億4541万2千円が計上されている。「起業支援プロジェクト事業」(3720万5千円)もあり、起業準備者などに対しビジネスプラン策定支援やビジネスプランコンテストへの支援、事業化にあたって必要な設備の支援など一貫して伴走支援に取り組む。掘り起こし、事業化、販路拡大と各段階に応じた研究開発支援や専門家によるコンサルティング支援など展開。組織的な支援に向けて、商工労働水産部内に新たに「新産業創出室」が新年度から設置される。

生産性向上の支援では、製造業、サービス業の付加価値の高い新製品、技術開発やIT活用の生産体制構築にかかる経費の補助に乗り出す。

事業承継は、新規の「中小企業事業承継加速化事業」(2289万7千円)で推進。経営課題を抱える県内中小企業の経営者を対象としたセミナー開催や、企業評価等にかかわる経費の補助、代替わりを契機とする事業の磨き上げに向けた伴走型支援などを行う。

企業誘致は継続した取り組みだが、塩田知事は答弁で「情報通信関連企業の誘致を強化するため、企業立地促進補助金に通信回線料を助成するメニューを設けて支援を拡充する」との考えを示した。