「紬の日ポスター」「新成人トートバッグ」審査員特別賞

紬の日ポスター「私たちの青春は、」を手にする三井竜太さん(左)とフォトグラファーの松下奈央さん(右)(提供写真)

和泊町「2020年新成人トートバッグ」のデザインを手掛けた並木建吾さん(提供写真)

九州ADCアワード2021 クリエイティブに島を発信

 九州ADC(アートディレクターズクラブ)アワード2021の審査結果がこのほど発表され、奄美群島関係では第43回紬の日ポスター「私たちの青春は、」と、沖永良部島和泊町「2020年新成人トートバッグ」が審査員特別賞に選ばれた。同アワードは、九州最大の広告やデザインのコンテスト。今回は応募者395人から、作品1097点が寄せられた。

 応募は▽グラフィック▽映像・音楽▽ウェブ▽プロフェッショナル▽プロジェクト―の5部門に分けられ、両者ともグラフィック部門の同賞に入賞。

 紬の日ポスターは、1月5日の紬の日に合わせて、紬の日実行委員が広報用に2種類企画。うち1種類が選ばれた。デザインは、奄美市名瀬の「ヱビス製作室」代表・三井竜太さん(41)が担当した。

 同実行委員会事務局担当者は「幅広い世代、特に若年層へ紬の魅力が届くように、今までと違ったテイストのデザインを依頼した。紬の日のイベントは中止となったが、ポスターをきっかけに広く注目してもらえたのでは」と話した。

 三井さんはデザインに「紬を着ることの敷居の高さ」や、雨量の多い奄美の「雨風のマイナスイメージ」を覆したいという思いを込めたと語る。モデルの女性たちは、雨のなか紬を着てはしゃいだり、鉄棒をしたりしている。「紬は日常で身にまとうもの」「着くずれても美しい」という部分を強調したという。受賞については「離島で活動するわたしたちにとって、とても励みになる。制作に携わったモデルやフォトグラファーなど、すべての関係者に感謝したい」と話した。

 審査員の牛島樹世さんは「見た時から大好きで、目に焼きついて離れない。まず写真がすばらしく、このカットを採用してつくろうとした心意気がよい。現場の気迫や空気感が伝わってくる」などと講評した。

 新成人トートバックは、和泊町教育委員会が20年度新成人に贈ったもの。デザインを担当した並木建吾さん(43)は、19年に東京から着任し、同町の地域おこし協力隊としてデザインを用いた町の広報などに携わる。「デザインは『2020年』と『二十歳』にちなみ考案。遠くから見ると『20』の文字が浮かび上がるようにしたのは、社会人になり、自分を俯瞰して見つめて欲しいという思いが込められている。また、街で持っても馴染むようにシンプルなものにした」とコンセプトを語った。

 審査員の小野伸介さんは「和泊町に興味を持つきっかけになる。離島でデザイナーとしてクオリティーを高めながら、町に貢献する姿に感動した」とコメントした。

 並木さんはこのほか、和泊町「厚生連健診」が上位100位に選出された。