フリーランスカメラマンとして活動する幸本姫香さん=提供写真
代表作の「花火」=提供写真
自らの世界観をつくりあげ、フリーランスで活動する奄美市名瀬出身(神奈川県在住)のカメラマン・幸本=さちもと=姫香さん(21)。高校3年生のときに会員制交流サイト(SNS=ソーシャルネットワークサービス)へ投稿を始め、ツイッターのフォロワーは、1万5千人を超える人気ぶりだ。そんな幸本さんに、夢を叶えたプロセスとSNSの活用方法をビデオ会議システム「Zoom」を使って聞いてみた。
企業によっては、インフルエンサー(SNSで影響力がある人)採用枠があるほど、SNSの運営力が価値を持つ時代になりつつある。一方で、自分の軸をしっかりと持たなければ流されてしまいやすい世界でもある。
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かつて看護師を目指していた幸本さんは、県立奄美高校衛生看護科を卒業。島外の専門学校へと進んだ。当時の進路に迷いはなかったが、高校3年生の時に「写真」の魅力を知ることに。趣味で始めたカメラが、いつしか夢に変わっていたーーー。
写真の魅力を知ったきっかけは、高校3年生で奄美大島を出る直前、「過ぎていく一瞬一瞬を写真に収めたい」と強く思ったことから。ユニクロやマクドナルドなど、「島にはない」ものに憧れをもっていたこともある10代。しかし卒業間近、こんなにも豊かな環境に身を置いていたことに気付いたという。小さなカメラを購入し、奄美の自然を写してツイッターにこつこつと投稿を続けた。
高校卒業後は神奈川県へ。空が狭く感じ、当たり前だと思っていた澄んだ空気も、きれいな星空もそこにはなかった。それでも写真が好きで、休日に知人や友人のポートレートを撮影した。当時は無償だった。撮影を続けるうち、自分の写真を気に入ってくれるフォロワーとのかかわりのなかで、撮影依頼が増えるように。
「写真を仕事にしたい」。そう思ってからは、着々と実績を重ねた。SNSになじみが薄く、初めは不安がっていた両親へ向けてはその都度現状を報告。ミュージックビデオの撮影や写真集の出版などを経て、徐々に理解を得た。今では両親を含む家族は、一番身近で活動を見守ってくれる、心強い応援団だ。
奄美でも昨年冬、瀬戸内町で初の個展(写真展)を開催。撮影会を同時開催すると、約30人の応募があり、1日で撮影した。今は新型コロナウイルスの影響で帰省や遠くに行くことがはばかられるが、依頼があれば全国各地を飛び回る。
「自分の写真や世界観を好きと言ってくれる人がいることが励み。幻想的で情緒的な『エモい』(エモーショナルな)作品を目指しています」と幸本さん。依頼が来た段階で依頼者とこまめにやり取りをして、依頼者が希望する世界感を構築するという。
SNSの良さとして▽自分の思いを投稿することで内面を見つめ直すことができる▽他の人に共感してもらえる▽情報量が多いー点を挙げた。一方で「必ず誰かが見ているから、感情的にならないように言葉を選んで。あとはむやみに個人情報を出さないよう注意」と、やんわりくぎを刺す。
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フリーランスで活動する決断に勇気はいらなかったのだろうか。そんな疑問も投げかけてみた。
「不安もあったけど興味の方が勝ち、人生一度きりと思って行動に移しました。『やらない後悔よりやる後悔』を大切にしています」と話し、決断力と芯の強さをのぞかせた。
最後に、奄美のおすすめ撮影スポットと、奄美の好きなところも教えてくれた。
撮影スポット①奄美市の大浜海浜公園の星空②龍郷町戸口の二つの海が見える場所③徳之島。放し飼いされている牛や、ソテツのトンネルの雰囲気がいい
奄美の好きなところ▽人が温かい▽方言が可愛い▽星空・山・海などの自然
幸本さんは現在、藤井音凜=フジイオリン=の名で活動する。撮影依頼は、インスタグラム(@kamerajosi)またはツイッター(@OLYMPUS- – – -)まで。プロフィール用や家族写真、企業の商品PRなど幅広く対応している。
(鈴木菜津希)