世界自然遺産「登録」勧告に、徳之島サイドの思いを語った3町長ら=12日、天城町役場
【徳之島】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関による「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録の勧告(10日)を受けて徳之島3町長が12日、天城町役場で記者会見した。大島郡町村会長でもある高岡秀規徳之島町長は「奄美群島の地域格差を生じない一丸の取り組みを」とも強調した。
同諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の「登録」勧告発表の朗報を出張先で聞いた高岡徳之島町長と森田弘光天城町長らの帰島日に合わせ、大久保明伊仙町長と3人がそろって会見。感想や課題への対応など新たな決意を語った。
高岡町長は「コロナ禍での勧告だが、世界自然遺産登録に向けてしっかりと対応。(登録の恩恵が)群島各地間に格差が生じないよう一丸で取り組みたい。アマミノクロウサギなどのロードキル(交通事故死)防止対策もしっかりと対応。交流人口を増やしこの自然を後世に残すことになる。その大きな第一歩が踏み出せると喜んでいる」。
森田町長は「2018年5月の登録延期、同6月の推薦取り下げ、それまでの準備期間も振り返ると、道のりは決して平たんではなかった。最終的な可否が出される7月(16~31日)の世界遺産委員会まで決して気を抜いてはいけない。奄美群島、徳之島3町は心を一つに頑張っていきたい。登録はゴールではなく新たなスタートだ」。
大久保町長は「国県と連携して奄美群島を世界中にアピールでき、南西諸島全体にとっても朗報。環境文化型(奄美群島国立公園と絡めた)宝として子どもたちにも誇れ、世界中に発信できる。生みの苦しみはあったが、多くの人が来て世界的な地域になることを期待している」とそれぞれ喜びと期待を表明した。
ロードキルやノネコ対策の質問に、町長や当局側は、希少野生生物など出没頻発区間への注意標識の設置や猫の適正飼養などポスター・チラシなど啓発を継続。特定の地域については「(車両進入)規制も必要になる可能性も。案が出たら即座に対応したい」とも。
観光振興への活用には「自然破壊のない取り組みが必要。沖永良部島・与論島・喜界島も含めて地域格差がないことが大事」。観光面の課題には「答えが出せてない。奄美大島にはLCC(格安航空)路線があって非常に便利。航空が鍵を握っている。奄美大島→徳之島を回るルートだけでなく、観光客のニーズに沿った努力も必要」(高岡町長)とも。