「花は可愛いが…」。徳之島で繁殖エリアを広げつつある外来植物「ランタナ」=27日、徳之島町亀津市街地で
【徳之島】徳之島ではこのところ、カラフルで愛くるしい花を咲かせる外来植物の一つ「ランタナ」が侵入、繁殖拡大が顕著化している。市街地の路傍にとどまらず在来種の自生エリアにも侵入。その花姿に無防備に心を和ませる住民は多いが、「世界の侵略的外来種ワースト100の一つ。植えてはいけない植物。種は有毒―」など指摘も。
ランタナは、クマツヅラ科シチヘンゲ属に分類される熱帯アメリカやブラジルなど原産の常緑性の熱帯植物。その可愛い花姿から観賞用品種でもおなじみ。降雪地域などでは冬には枯れてしまうが、温暖な地域では冬を越し、奄美・沖縄など暖かい地域では爆発的に繁殖することが指摘されている。
繁殖力の強さから国際自然保護連合(IUCN)が定めた「世界の侵略的外来種ワースト100」、日本の環境省の「生態系被害防止外来種リスト」にも登載。ずばり「植えてはいけない植物」の一つに挙げられている。
その可愛い花姿とは裏腹に、さらに懸念すべきは種に含まれる「ランタナン」という毒素だ。実(果肉)は甘いが、中の種を食べると「腹痛や下痢、呼吸困難、最悪の場合は死に至る可能性も」との報告も。鳥類は実のみを食べ、消化できない種の運び役を果たす。その種には、他の植物の成長を抑制する「アレロパシー物資」も含まれているとも。
徳之島では、観賞用の逸脱や鳥類の運搬が原因とみられる繁殖が2~3年前から目立ち始めた。市街地・県道沿いの植え込みや海岸線のグリーンベルト、コンクリートのすき間にさえ生える強い繁殖力で拡大。ツワブキなど在来種が自生する急傾斜地にも勢力を広げている。
地元行政と連携して外来種対策にも取り組んでいる環境省徳之島管理官事務所の福井俊介国立公園管理官は「園芸種が入って広がった可能性が考えられる。世界自然遺産登録予定エリアへの侵入はまだないと思う。他の外来植物を含め優先順位、場所などを考慮した取り組みが必要」と話した。