さいたま市で本場大島紬展示即売会

展示品の前で着物について語り合う、牧雅彦さん(右)と乃一勝美さん(左)
龍郷柄の反物をあてがい説明する牧さん(右)

着物専門店の企画で
「本物は違いますね」

【東京】埼玉県さいたま市で、このほど、着物専門店による展示即売会に本場奄美大島紬が出展、多くの来場者の足を止めていた。会場には、泥染めの体験コーナーも設置され、奄美の技に注目が集まっていた。

展示即売会は、同市大宮区の大宮ソニックシティ展示場で5月28日から30日まで行われた。全国展開する着物専門店「きものやまと」(本社・東京都渋谷区千駄ヶ谷)が企画した「琉球色遊び」に参加したもの。同社取締役の乃一(のいち)勝美さんは「沖縄の帯と奄美の本場奄美大島紬を合わせ、着物の魅力を伝える。それと同時に、産地を応援していくことがとても大切なのです」と企画の意義を語った。30年間でおよそ千人を奄美へ研修に送り込んでいる同社は、12年ほど前から本場奄美大島紬を展示した即売会を行っている。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年は8月に延期されたが、例年開催は5月前後。今回は、本場奄美大島紬協同組合員数社と、牧絹織物の牧雅彦さんが出展した。「手頃な価格で提供することで、多くの人に本場大島紬を知ってもらいたい」と牧さんは500の反物を用意した。昨年から同組合理事長としても奮闘している牧さんは、「伝統の技を、どう後世に伝えていくか悩みは尽きない」としながらも、笑顔で来場者に応対していた。草木染め、本藍染め、龍郷、白大島がある中で一番人気の柄は、龍郷だという。都内からやって来た女性は「やはり本物は違いますね」と目を輝かせていた。