輸出拡大へ市場戦略探る

パネルディスカッションではインバウンド対応、SNS発信をテーマに協議した

奄美黒糖焼酎輸出等促進連絡会セミナーやパネルディスカッション
情報発信、マネジメント方法も

奄美黒糖焼酎の輸出拡大に向けたセミナー「奄美黒糖焼酎輸出等促進連絡会」(県酒造組合奄美支部、熊本国税局など主催)が2日、奄美市名瀬の奄美会館であった。参加者らは専門家のセミナーやパネルディスカッションを通して奄美黒糖焼酎の輸出促進を協議。海外での市場戦略やSNSを使った情報発信、マネジメント方法などを探った。

政府が農林水産物・食品の拡大に向けた実行戦略の財源を手当てする「輸出拡大実行戦略」の一環。国税庁の重点3品目でも「清酒」「ウイスキー」が海外で過熱する中、「本格焼酎・泡盛」の輸出額は2012年以降低迷、対策が急がれている。

この日は酒造組合会員や行政、観光業者など約50人が参加。あいさつで同組合・乾眞一郎副会長は「出荷も厳しい状況。コロナ収束を見据えて海外に広くアピールできるよう準備していこう」と呼び掛けた。

講話では、奄美在住の翻訳士・ショースタク・ティムさん、焼酎利き酒師のジョン・マノリト・カントゥさんが海外市場の動向を紹介。ショースタクさんは「黒糖焼酎はジンやバーボンと違って、ソーダで割れるのも特長。飲みやすさから購買層を若者に据えてはどうか」。ジョンさんは「英語のホームページもなくコミュニケーションが課題。ネイティブの翻訳士を使い、ターゲットに応じた感性を引き出していくべき」とアドバイスした。

バローレ総合研究所代表の勝眞一郎さんは「市場戦略の構造的理解へ」と題し、輸出促進に向けた中長期戦略を展望。これまで行ってきた大手流通や日本料理店などへのアプローチは「複雑」とし、産地のブランド化を促す地理的表示保護制度の採用や、市場普及への鍵を握る「イノベーター(マニア)」と呼ばれる層へのアプローチを提案。「情報をわかりやすく広く届けることが重要。プロセスやゴールを描きながら戦略的に取り組んでほしい」など訴えた。

この後は、観光事業者らを交えてパネルディスカッションを実施。インバウンド対応では「ただ飲ませるだけでツアーのプログラムになっていない」、SNS発信では「地域生活に結び付けるなど、現地との接点が見えることも必要だ」などの意見が出た。