世界自然遺産へ勉強会と外来種駆除

外来種同士の「モクマオウ」林に侵入繁茂した「ポトス」の駆除作業に汗を流した伊仙町職員ら=26日、同町喜念浜海岸

伊仙町職員組合

【徳之島】伊仙町職員組合(上木雄太委員長)の「世界自然遺産登録に向けた勉強会」と外来種駆除作業が26日、同町中央公民館と喜念浜海岸であった。職員約50人が呼応。環境省徳之島管理官事務所・国立公園管理官を講師に、世界に誇る「生物多様性」など登録への価値観を再認識後、外来植物の除去作業に汗を流した。

国際自然保護連合(IUCN)の勧告(登録適当)に沿って来月下旬に見込まれる「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録。「私たちの生まれた徳之島の豊かな自然が国際的に評価される一方、アマミノクロウサギを含む希少動物に対するロードキル(交通事故死)や、貴重な在来種を脅かす外来種の存在など環境保全上の課題も多くある」と上木委員長(41)。若手を中心に参加を呼び掛けた。

室内勉強会では環境省同所の福井俊介管理官が、①世界遺産とは②奄美・沖縄の同推薦地③登録までの歩み④世界遺産の価値を守るために⑤徳之島の遺産登録と目指す先―など解説。世界自然遺産価値の「生物多様性」の陰に横たわるロードキル、外来種問題なども提起。

登録効果の活用面では、「登録候補4地域(4島)の中で徳之島は一番農業が盛ん。グリーンツーリズムなど徳之島にしかできない観光体系を作ることがオリジナリティの創出に。農産物・加工物も『世界遺産ブランド』をつけることで付加価値が与えられる」との提言も。

喜念浜海岸のターゲットは、モクマオウ防潮林域に侵入して繁茂・拡大を続けているポトス(和名・オウゴンカズラ、サトイモ科)。皮肉にも奄美群島国立公園(第2種特別地域)内でかつての防潮目的の植栽と、園芸品種の投棄とみられる侵入など、いずれも人為的要因による〝外来種同士〟の絡み合い。NPO法人徳之島虹の会の関係者ら約20人も加わった総勢約70人の人海戦術で、その〝絡み合い〟の一部を汗だくで除去した。