県議会一般質問

廃棄減へ課題共有
奄美大島での輸血用血液製剤で意見交換

 6月定例県議会は30日、引き続き一般質問(最終)があり、柴立鉄平議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、園田豊議員=自民党、南さつま市区=、大園清信議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、大久保博文議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=が登壇。奄美大島での輸血用血液製剤の供給体制では、県立大島病院にあった県赤十字血液センターによる備蓄所撤退後、製剤の廃棄量・負担額が増加している中、改善に向けて関係機関・担当者による意見交換会を開催、供給の在り方など課題の情報共有を図っていることが説明された。

 麻酔科医師として同病院に勤務した経験がある大園議員が取り上げた。大園議員が提案した病院内血液保管所整備について、谷口浩一くらし保健福祉部長は「県赤十字血液センターからの聞き取りによると、病院内血液保管場の整備、運営管理費いずれも約5千万円とのこと」と報告し、多額の費用を伴うことを説明。県では2018年3月で備蓄所を撤退した際に同センターに対し、奄美大島での血液製剤の安定供給に支障がないよう求めたところ、「出張所の設置は人的・経費的課題があり困難なことから、県立大島病院に対し血液製剤を直接配送する体制とし、期限切れの製剤に関しては廃棄にかかる費用の一部をセンターが負担することで備蓄撤退の影響の緩和を図っている」と述べた。

 血液製剤廃棄量の減少に向けては県赤十字血液センター、県立病院局、地元医療機関や自治体関係機関が今年3月に意見交換。5月には関係機関担当者の意見交換が開催され、▽出張所設置▽ブラットローテーション(有効活用のための方法)実施▽廃棄血液の費用負担―などについて意見交換が行われたことが報告され、谷口部長は「供給の在り方、今後の供給体制の課題について情報共有を図ったところ」と述べ、できるだけ早期に結論を示すとした。

 備蓄所閉鎖後の県立大島病院における血液製剤の廃棄量・病院負担額の報告もあった。福元俊孝・県立病院事業管理者の答弁によると、閉鎖前の17年度は期限切れによる廃棄処分数14本・病院負担額約20万円だったが、閉鎖により一定量の院内備蓄が必要になったことで18年度の廃棄数は203本・負担額約320万円に大きく増加。その後は県赤十字血液センターが廃棄費用の一部負担のほか、院内による備蓄量や発注方法、手術における見直しに取り組んだことで19年度は廃棄172本・負担額約230万円、20年度は61本・約70万円に減少している。それでも依然として負担が大きく、貴重な血液製剤の多くが無駄になっていることから福元管理者は「県立大島病院だけでなく奄美大島の医療機関の共通する問題であり、安定的な供給体制をどのように構築するか今後の課題」と述べた。

 新型コロナウイルス感染症関係ではPCR検査体制についての質問があり、現在38カ所の医療機関で一日あたり2977人の検査が可能となっている。谷口部長は「今後感染伝播性が高い変異株への置き換わりが進むことが予測され、短期間で感染拡大する懸念がある。感染が疑われる場合のPCR検査をできるだけ早期・広範囲に実施し、感染拡大を防止する必要がある」として、現在の検査体制を維持するとともに今後の感染拡大で機動的に対応していくとした。