手術のクロウサギ 平川動物公園へ

平川動物公園に移送されたアマミノクロウサギ(提供写真)

野生復帰を目指す
今回で7匹目 治療やリハビリで

 今年2月に交通事故でけがをしたと見られ、奄美市の動物病院で手術を受けた国の特別天然記念物アマミノクロウサギが先月29日、鹿児島市の平川動物公園に移送された。治療やリハビリをして野生復帰を目指す。

 2月8日午後7時ごろ、県道85号線(宇検村湯湾)の道路中央付近で、動けなくなっているアマミノクロウサギを地元住民が発見し、環境省奄美野生生物保護センターへ連絡。奄美市名瀬の「ゆいの島どうぶつ病院」へ搬入して応急処置と治療を行った。レントゲン検査により右股関節の脱臼が認められたことから、3月3日に大腿骨頭切除術を行った。術後の様子は右後肢を投げ出しているものの、基本的な移動に支障はない状態に。その後、関係者間で検討した結果、すぐに野生復帰させるのは難しいと判断。長期的な治療と飼育、リハビリが可能な平川動物公園動物病院へ移送を決定した。

 6月29日、奄美空港から鹿児島空港まで航空機で、空港からは車で同園へ移送された。飼育展示課の桜井普子=ひろこ=課長は「最初は緊張していたようだが、今は餌もまあまあ食べるようになり、ひと安心。この先は様子を見ながらだが、野生復帰に向けてがんばってほしい」と話した。同園は2007年から傷病個体を引き受けており、今回で7匹目。現在4匹のアマミノクロウサギを飼育して、定期健診や治療にあたっている。個体へのストレスを回避するため、同園での一般公開は実施しない。