防災気象情報の改善などを報告した名瀬測候所防災気象連絡総会
2021年度「名瀬測候所防災気象連絡総会」が13日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。総会は、会員相互の意志の疎通を図り、気象、地象、水象などによる災害を未然に防止、軽減することを目的に毎年開催。同日は行政職員や警察、消防、海運業など27団体が参加し、防災気象情報の改善や自身・津波情報の利活用についての報告を受けた。
上野健志郎所長は冒頭のあいさつで、3日に静岡県熱海市で発生した土石流災害や、10日に大雨特別警報が発令された九州3県の被災地、被災者を見舞い、「毎年のように起こる災害に備えて、名瀬測候所では、住民の安全確保が迅速かつ適正に行えるよう関係機関との連携を強化している」と話し、「梅雨は明けたが大雨への備えは忘れてはいけない」と強調した。
山下千尋予報官の講話では、気象庁は21年度3月から危険度分布「キキクル」を導入したと紹介。キキクルは、雨量の予報を災害の予報に翻訳するシステム。過去約25年分の災害データを用いて危険度を段階的に設定、地図上に色分けして表示される。気象庁のホームページからアクセス可能で、危険度が高まったときにメールやスマートフォンのアプリで通知するサービスもあるという。
ほか、「高温注意報」が廃止され、21年度4月末から「熱中症警戒アラート」の発表が開始されたことを報告した。
田中達郎技術専門官は「地震・津波情報の利活用について」講話。奄美地方のプレートの仕組みを解説し、奄美では「海溝型」地震が起きた時に津波注意が必要とした。防災情報の流れや避難所の確認方法などを説明し、20年6月から津波警報を知る手段として加わった「津波フラッグ」も紹介。
最後に大島地区消防組合の消防係長・富修一郎さんが登壇し、災害発生時の消防体制について語った。
同所によると、21年度に奄美地方で震度2以上を観測した地震は、4月に多発したトカラ列島の地震を含め8回(うち震度4以上は4回)あった。一方、20年度に奄美群島で発生した震度2以上の地震は93回(うち震度4以上は3回)。奄美市から500キロ以内に接近または通過した台風は5回だった。