宇検村、世界自然遺産博士講座

野生動物と人との共存について語る伊藤先生

ハヤブサに興味しんしんな参加者

野生生物と人、共存するためには?
飼育生物の適正飼育も呼び掛け

 宇検村の生涯学習センター「元気の出る館」で22日、「やけうちっ子環境学習 世界自然遺産博士講座」があった。今年度2回目の開催の同日は、講師に奄美いんまや病院=龍郷町=の獣医師・伊藤圭子さん(44)を招き、野生生物と人が共存していくために必要なことを学習。村内の子どもから大人まで約50人が参加し、伊藤さんの話に耳を傾けた。

 同講座は、奄美大島の世界自然遺産登録に向けた取り組み。村内小中学生を中心に、次世代の担い手育成が目的の環境プログラムとして6月に始動した。参加対象が一般(村内住民)にも開かれているのが特徴。同村のふるさと納税寄付金を財源に開催し、今年度は全9回の講座を予定する。

 講演前には、阿室小中学校の教諭で、県体験的環境学習研究会会長などを務める岩切敏彦さん(58)が動物の特徴を学ぶネイチャーゲームを実施してウォーミングアップ。講座のテーマは「野生生物と人との素敵な関係」として、伊藤さんは▽野生動物と飼育動物の違い▽「共存」の定義▽野生動物の救護状況・方法▽ネコの影響▽飼育動物についてー事例を元に説明。野生生物は「おとなりさん」や「ともに生活するもの」と紹介し、譲り合って生きていくことが「共存」とした。また、救護される野生動物は「自然環境の現状」を示し、1頭(羽)助けることが種の存続につながるという。伊藤さんは「動物を助けるためには知識が必要なので、特徴を学ぶことが大切」と語った。

 飼育動物については室内で責任を持って飼うことが重要と語気を強め、時代と共に飼育の価値観を更新していく必要があるとした。

 結びに「ヒトと動物の『素敵な関係』はひとつではない。自分で調べ考え、できることを探そう」と呼び掛けた。

 また、講演中に伊藤さんが飼育しているハヤブサを紹介すると、参加者は迫力に驚きながらも興味深げに観察していた。

 講演後は「今飼っているネコを大切に育てて、周りに迷惑をかけないようにしたい」「もっと生きもののことを知りたい」「人と生きものが楽しく暮らせるような環境にしたい」などと感想が挙がった。田畑心々菜さん(阿室小4年)は「生きものとわたしたちの関係を深く考えることができた。次の講座も楽しみ」と話していた。