役場でマンゴー臨時販売会

台風6号の交通マヒ出荷できなかった「完熟マンゴー」の臨時即売会(左側は生産農家)=26日、徳之島町役場

困窮農家を助けよう
徳之島町

 【徳之島】台風6号による定期船の8日間に及ぶ欠航の影響で、徳之島でも特産果樹「完熟マンゴー」の本土出荷ができずに滞貨、品質劣化・ロスを生じるなど被害が深刻化。徳之島町は26日夕、「今こそ町内産マンゴーを食べよう―」と生産者救済のための臨時販売会を開催。住民や職員たちが複雑な表情で破格値のマンゴーを買い求めた。

 のろのろ台風6号による大しけが続き19日―26日まで海路が途絶えた。同島産マンゴーは「樹上完熟」収穫が中心のため、冷蔵保存でも鮮度・品質を保持できるとされる約5日間を過ぎると、果皮に黒点を生じるなどしだいに商品価値の低下につながる。

 臨時販売会をお膳立てしたのは同町企画課ふるさと思いやり応援推進室。今年度もふるさと納税返礼品に約2千㌔(予約)を協力する町内のマンゴー農家たちの困窮に接し、「今こそ町内消費(販売)で農家さん方を助けよう」と腰を上げた。

 販売会は午後4時から役場玄関ホールであり、4農家が計約220㌔を搬入。会場には町のホームページやSNS情報などで知った消費者たちの例ができた。ビニール袋入りのマンゴーを1㌔当たり千円で放出。予定の1時間足らずで完売となった。

 今年の収穫約2㌧を見込む同町花徳「ふとり農園」の太勇也さん(30)は「1年かけて作ったものが、台風の影響で出荷できずにいたんでくるのは辛い。現在も約2百㌔を冷蔵に保管中。(本日持参分の約50㌔は)見切りをつけて廃棄するつもりだった。町が売ってくれるのは大変ありがたい」と感謝。

 購入協力に訪れた自営業女性(60代)=亀津=は「困っている農家さん方に少しでもご協力ができればと思って来ました。マンゴーは冷凍庫で保存して自家用にします」と、複雑な表情で語った。