奄美での開業目指しオフィス利用

サテライトオフィスで仕事をする瀧氏

東京の動物病院グループ
「ワークスタイル ラボ」オープンと同時に

 奄美市がフリーランスや島内での起業を目指す事業者の活動拠点施設として、同市名瀬浦上町の市産業支援センター2階に開設した「WorkStyle Lab(ワークスタイル ラボ)」。今月16日のオープンと同時に、東京都の「エルムスユナイテッド病院グループ(EUG)」のスタッフが、奄美での動物病院開設に向けた準備のため利用を開始するなど、早くも施設を活用した起業誘致効果が表れている。

 EUGは、東京や大阪など首都圏および関西圏を中心に全国で14の動物病院を経営するグループ企業。絶滅危惧種の保護啓発プロジェクトにも取り組んでおり、奄美では2018年に「アマミノクロウサギの保護啓発ムービー」制作などにも携わっている。

 同ラボで、開業準備に携わっているEUG取締役の瀧真一郎氏(56)は、奄美市出身。昨年、福岡から地元にUターン、トヨタ自動車で長年、開発や組織戦略業務を担ってきた手腕から、奄美での事業統括責任者としての仕事を任せられている。

 現在、奄美への進出を計画する企業などが最長6カ月利用できるお試しサテライトオフィス(10平方㍍)を利用し、東京の本社などとリモート会議を行うなど、奄美での開業に向けた準備を進めている。同オフィスの環境について瀧氏は「ネット環境も整っていて、とても仕事しやすい。フリーランスや起業を目指す人などとの交流も楽しみ」と話す。

 EUGが奄美で動物病院の開業を計画する背景について、瀧氏は「奄美には近くに動物病院がなく、大切なペットの診療ができず困っている人も多い。また、世界自然遺産として認められた豊かな自然は、都市部で働く獣医らにとっては魅力的な場所。スタッフのワーケーションなどの拠点機能としても活用していきたい」などと話した。

 動物病院では、オンライン診療や訪問診療なども計画しており、瀧氏は「奄美の生活習慣なども考慮しながら、きめ細かな対応ができる仕組みを考えていきたい」と話す。

 喫緊の課題は、獣医師などのスタッフの確保。瀧氏は「年内には開業の目途を付ける必要がある。奄美の自然や生きもの、島民の生活環境などに理解ある人材を奄美で探したい」などと話し、世界自然遺産登録される奄美の自然保護に貢献できる動物病院の開設を目指す。