ハワイ・カウアイ島の小学生が10年前に託した「ボトルメッセージ」が漂着した伊仙町喜念浜海岸
太平洋を10年間漂流していたが形状はしっかりと保たれていた
【徳之島】2011年6月、ハワイ諸島・カウアイ島の当時小学生が流した「ボトルメッセージ」が、伊仙町喜念浜海岸に漂着しているのを住民らが発見した。広大な太平洋を10年間も漂った果てに、奇跡的に人の目に届いた“幼い願い”。熱心なSNS探索で学校を探し当て、カウアイ島では「エキサイティングだ」と驚嘆している。
海遊びに訪れていた地元の会社員政岡美香さん(50)ら女性グループ6人と政岡さんの長男・和樹さん(20)が今月1日、砂浜の波打ち際で見つけた。コルク栓で密封された緑色の小びんには、くしゃくしゃに詰めた英字新聞とともに丸められたメッセージが入っていた。
内容は、「アメリカ・ハワイ州カウアイ島のアイランドスクールにて、2011年6月に作成。ボトルはカウアイ島のナウィリウィリ港の東10マイル(約16キロ)で漂流。私たちは風と、現在のさまざまな国、文化、言語について学んでいます。見つけた場合は連絡を」(要旨)。
続いて鉛筆で「私の名前はEden・Mindel。私は馬が大好きです。私は世界のあなたが見つけてくれるのを願っています」と自筆署名も。署名の年月日は前年になっていた。
政岡さんらは10年前のメッセージに「奇跡的でスゴイことだ。知らせなきゃ!」と一念発起した。ところが、エデンさんの名で検索したSNSからの返事はなかった。メッセージに記載のメールアドレスも「使われていない」とのエラーが。諦めずに校名でホームページを見つけてメール。経緯を知る関係者とコンタクトが取れたのは16日以降のことだった。
同校(アイランドスクール)教師のクム・サブラ・カウカさんらは返信で「非常にエキサイティングなニュースだ」と驚嘆。伝統航海カヌー「ホクレア」の船員(キャプテン)からボトルメッセージ作成を学習したことなど経緯を紹介し、発見者や場所などを詳細に質問。その上で「そのボトルとメッセージを見つけたのは、私たちの学校だけでなく、島中の大きなニュースに」と感動を伝えてきた。
学校側は22日までに現在フロリダ州の大学で海洋科学を学んでいるエデンさんにもリモートで一報したという。
政岡さんらは「10年前のメッセージ。アドレスもつながらず諦めかけたが、『奇跡的なことなので伝えたい』との気持ちが日増しに強くなった」「エデンさんにも伝えられてうれしい。私たちも素敵な経験、感動をもらいました」とにっこり。世界自然遺産のわが島のPRも含め、翻訳ソフトを使った国際交流が続いている。
カウアイ島はハワイ諸島中最北端の島。人口約6万5600人、面積 1431キロ平方㍍。徳之島との距離は約7150キロ程度。ボトルメッセージは「亜熱帯循環」(北赤道海流→黒潮→黒潮続流など)を漂い続けたと思われる。