護岸工事の「早期完成」を

県大島支庁瀬戸内事務所で要望書を提出した鎌田町長(左)と徳田区長(同2人目)

瀬戸内町と嘉徳集落会 連名で県へ要望書提出

 瀬戸内町嘉徳集落の住民らでつくる嘉徳集落会(代表・徳田博也区長)と瀬戸内町(鎌田愛人町長)は16日、県大島支庁瀬戸内事務所を訪れ、県が同町嘉徳海岸で進める浸食対策事業について、早期完成を求める要望書を塩田康一知事宛てに提出した。要望書は会と町の連名で提出。徳田区長は「事業は集落住民の生命と財産を守るもの。早めの完成を願いたい」と強く要望した。

 嘉徳海岸は2014年の台風で砂丘が大きく浸食。畑や小屋が流失し、約1700平方メートルの民有地が消失したとして、同会住民らは県に護岸対策を要望。県は専門家を含む検討委員会などを経て整備計画を決めたが、19年には計画に反対する住民らが護岸工事への公金支出差し止めを求めて県を提訴。今年8月には、住民への説明がないまま入札情報が公開されているとして入札延期を求めた声が上がるなど、集落住民内でも意見や対応がわかれている。

 要望書は、同集落住民16筆の署名を添えて提出。近年は特別警報級の台風が近づくなど、集落の日常生活に危険が迫っているとして「護岸の整備を早期に完成し、一日も早く集落住民の安心安全な生活の実現を図ること」を求めた。

 県大島支庁瀬戸内事務所では、徳田区長と鎌田町長の2人が訪れ、「住民は台風が来るたびに不安な日々を過ごしている。一日も早い完成と安心安全な生活の確保を望んでいる」と述べ、新門和洋同事務所長に要望書を提出。担当者は「関係課を通じて知事に届けたい」と話した。

 なお工事は、延長90×高さ6メートルのコンクリートブロックを2工区で同海岸を掘削した上で設置する。ブロックは砂で覆われ、完成後はアダンなどの植樹も予定。現在、測量調査が進んでおり10~11月ごろの着工を見込んでいる。