衆院選振り返る

金子氏4選ならず
「顔見えず」、県本土で2万7500票差

10月31日投開票された衆院選、県内4選挙区では与党自民党が4議席独占を狙ったものの、改選前勢力の3議席から2議席に減らした。一方、立憲民主は3区で議席を奪ったものの、1区で議席を失い、結果的に政権交代を目指した野党共闘は成功しなかった。奄美群島を含む2区は、前知事で無所属新人の三反園訓さん(63)が、4選を目指した自民前職の金子万寿夫さん(74)との激しい保守票の奪い合いを制し初陣を飾った。結果、2000年から続いた奄美出身の国会議員がいなくなり、奄美の自民党関係者らは「非常事態」と危機感を募らせている。

奄美出身国会議員不在に危機感

「奄美群島で2万票の差をつけなければ危ない」。自公政権に対する批判や知名度のある三反園さんの出馬に、金子さんの陣営では、当初から警戒感を強め、地元での票の上積みを狙った。金子さんの奄美12市町村の得票約3万5千票に対し、三反園さんは約2万票。目標には5千票足りなかった。

自民党奄美支部の竹山耕平幹事長は「奄美市と龍郷町で思った以上に差をつけることができなかった。群島の中では都市部に位置する両市町では、無党派層も多く、これまでのような組織型選挙だけでは、集票につながらなかった」と分析する。

7日に告示される市長選の影響を指摘する声もある。金子さんを応援した自民党員の男性は、「自民党支持者の多くが市長選の2陣営に分かれたことで、これまでのように一枚岩になれなかった」と話した。

一方、県本土では三反園さんが金子さんの得票を約2万7500票上回った。金子さんが奄美で2万票差を付けたとしても逆転される計算で、自民党県議の一人は「県本土では金子さんの顔が見えなかった。新型コロナの影響もあるだろうが、つじ立ちを続け、顔を見せた三反園さんの姿がやはり、有権者の心に響いたのだろう」と話す。

金子さんは敗戦の弁で「次の奄振延長に議員として関われないのが心残り」と悔しさをのぞかせた。2区で奄美出身者以外の候補が当選したのは小選挙区比例代表制が初めて実施された1996年の第41回衆院選以来となる。

竹山幹事長は「金子さんを国政に送り出せなかったことは、とても残念。奄美出身でなければ、地元の実情をつぶさに感じ取り、国政につなげることはできない」と話し、三反園さんが自民党入りを検討しているという報道に対しては、「最終的には党本部、県連が判断すること」と前置きした上で、「奄美に来た回数ではなく、具体的な政策を示すことが重要。今後の活動をしっかり見守りたい」と話した。